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【銀座菊廼舎-きくのや】100年前に誕生した「冨貴寄」が、SNS時代の若者にも大ヒット!

笹木理恵

1.はじまりは洗濯屋!?菊が咲き誇る庭から生まれた和菓子店

銀座菊廼舎

愛らしい「冨貴寄(ふきよせ)」で知られる「江戸和菓子 銀座菊廼舎(きくのや)」の創業は、1890年(明治23年)です。江戸和菓子の看板を掲げてからなんと130年。

現在の歌舞伎座前で、歌舞伎せんべいを販売していたのが始まりだといいます。お店の歴史について語ってくれたのは、現在5代目社長の井田裕二さん。

「初代は川崎の元住吉出身で、着物の番頭を経て洗濯屋を開いたそうです。着物を干すには広い庭が必要ですから、庭の周りに菊を植え、洗濯物を干している間に花を見ながらお菓子をふるまっていたのが評判となって、菓子屋を始めたと聞いています」(井田社長)。

銀座菊廼舎

「冨貴寄」を考案し、菓子屋としての原点を築いたのは2代目の時代。1920年(大正9年)に誕生した「冨貴寄」は、当時の郷土菓子を集めて、一度にいろいろな味を楽しめるようにと開発した商品。

初期の頃は、壺や瓶にラフに入れて販売していたそうですが、時代とともにパッケージは進化してきました。現在まで続くブリキ缶のデザインを考案したのは3代目。戦争で4年ほど休業を余儀なくされますが、戦後、昭和23年より営業を再開し高度経済成長にのってお店を繁栄させました。

2.一缶に和菓子が30種類以上!好きな味を探す楽しみも

銀座菊廼舎

冨貴寄一缶に入っているお菓子は、なんと30種類以上。小麦、砂糖、卵のみで作るシンプルなクッキーをはじめ、店名を模った落雁(らくがん)、打ち物、ハッカ糖、金平糖など様々なお菓子が入っていて、食べ進めるのが楽しくなります。

中身は時代によって微妙に変えており、数年前からはクッキーの小麦粉を北海道産に変更するなど、よりよい素材の見直しも行なってきました。

銀座菊廼舎

さらに、日本らしさを感じさせる繊細な色使いも「冨貴寄」の技術の賜物。お菓子には天然色素のみを使用し、決められた配置に沿って一缶ずつ職人が手作業で詰めているといいます。

「いろんなお菓子が入っているので、家族でコミュニケーションをとりながら食べてもらいたい」と井田社長。「ハッカ糖など今の若い人はあまり食べる機会がない和菓子も、知ってもらうきっかけになれたら嬉しいです」と語っていただきました。

3.日本や季節をイメージした多彩なデザインに注目!

銀座菊廼舎 冨貴寄 開運干支缶 1,850円(税抜)

冨貴寄は、近年はとくにパーソナルギフトとしてのニーズが高く、用途に合わせた様々な商品展開を行なっています。一番人気は、季節の冨貴寄。春は桜、夏は海の宝物、秋はふくろう、冬は干支のモチーフが入ります。

とりわけふくろう缶は、ふくろうの最中のなかにお菓子が入った遊び心と、幸運のイメージもあって、毎年楽しみに待つファンも多いそう。

銀座菊廼舎 特撰缶JAPAN(小) 2,500円(税抜)

富士山のモチーフが人気なのが「特撰缶JAPAN」。富士山の周りを、桜や梅、松、菊などが彩り、水面に移る貝殻のそばを金魚の親子が泳いでいます。

冨貴寄は、日本から海外へ行くときのお土産としても人気が高く、外国人にも喜ばれるそうです。

銀座菊廼舎 冨貴寄 ことほぐ 2,300円(税抜)※カラーのデザインは限定になります

また今年、130周年を記念して発売されたのが「冨貴寄 ことほぐ」。お祝いにふさわしい赤富士を入れた内容で、名前入りのプレートと合わせて内祝いに使う人も多いそう。

「ずっと赤と青の缶が定番でしたので、白い缶というのも目新しさがあって好評です」とのことです。

4.店頭販売のみの隠れた人気商品「マカダミアナッツ饅頭」

銀座菊廼舎 マカダミアナッツ揚げ饅頭 5個入1,000円(税抜)

冨貴寄は通販でも購入できますが、銀座本店には練り切りや饅頭など店頭販売のみの商品も並びます。なかでもイチオシは「マカダミアナッツ揚げ饅頭」。

こしあんを入れた饅頭に、マカダミアナッツをまぶして揚げたもので、甘さ控えめのあんと、ナッツの香ばしい風味が絶妙なおいしさ。冷めても油っぽくならず、カリカリとした食感が味わえるのも魅力です。

銀座菊廼舎

銀座本店には、ここで紹介した以外にも様々なサイズやパッケージの冨貴寄があるので、ぜひお気に入りのデザインを見つけてみてくださいね。

取材・文:笹木理恵