こんにちは、和菓子コーディネーターのせせなおこです。この連載では、何げない毎日がちょっといい日になるような、そんなおやつを紹介します。
今回紹介するのは、前回に引き続き石川県にあるお菓子屋さん、まめや金澤萬久。まめや金澤萬久は明治から昭和にかけて活躍した建築家 村野藤吾が設計した北國銀行武蔵ヶ辻支店を使ったお店です。
和菓子の町である金沢で、洋菓子職人が和の素材を使った和洋菓子をつくろう、歴史を築いてきた先人たちに敬意を払いながら、文化都市金沢にふさわしい新しい菓子文化を創出していこう、という思いで2009年に誕生したお店です。店名は「銀行内のカフェ」というテーマに、銀行(bank)をもじった「萬久(バンキュウ)」と名付けられました。
今回選んだのは、黒豆のおかきにチョコレートが染み込んだお菓子、その名も「しみみ」。かわいい名前でつい口に出して言いたくなってしまいます。しみみの味は2種類。まずは「黄な粉チョコ」を食べます。
口に入れると、きなこの香ばしさとチョコレートの甘さが感じられ、かむとおかきのしょっぱさがやってきます。使用しているおかきは、チョコレートをしみ込ませるための専用おかき。チョコレートを内側にしっかりと抱え込めるように、内側はふっくら、外側はかりっと時間をかけて焼き上げられていて、ザクっとかみ応えのある食感です。
一つずつ、個包装になっているのですが、ついついもう一個! と袋を開けてしまいます。
お菓子が入っているのは豆形の紙器。「黄な粉チョコ」はうさぎの絵柄、「焙じ茶チョコ」は招き猫の絵柄。なんと、 印刷ではなく、全てに九谷焼の技術を使って職人さんが手描きで描いているのだそう! ひとつひとつ表情が少しずつ違い、いとおしい! この世にふたつとない特別な品となっています。ギフトの機会も増えるこれからの季節にもおすすめです。
そして「焙じ茶チョコ」。袋を開けるとほうじ茶の香りに癒やされます。
使用しているお米は国産の餅米、おかきに入っている黒豆は、北海道産。黒豆は少し砕いて使うことで、より香ばしく、そしてチョコレートがしっかりと染み込むようになっているんだそう! 断面を見てみると、「しみみ」の名前の通りしっかりと染み込んでいます。
ザクザクの食感、チョコの甘さ、おかきのしょっぱさ、ほうじ茶やきなこの香ばしさ。全てが重なって小さいながらも満足感のある一粒になっています。
コーヒーやお茶、特に「焙じ茶チョコ」は濃いめのほうじ茶と合わせるのもおすすめ。温かい飲み物が恋しい季節。お茶請けにぴったりのお菓子です。
- <今日のおやつ>
しみみ 黄な粉チョコ 864円(税込)
しみみ 焙じ茶チョコ 864円(税込)
文:せせなおこ