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お取り寄せ連載企画 おやつの時間 「第65回 喜信堂の四季の宴」

せせなおこ

こんにちは、和菓子コーディネーターのせせなおこです。この連載では、何げない毎日がちょっといい日になるような、そんなおやつを紹介します。

今回紹介するのは北海道にあるお菓子屋さん、喜信堂の「四季の宴」という最中です。桜のシーズンはおわってしまいましたが、まだまだ季節は春真っただ中。移り変わる季節を感じることのできる和菓子はないかな、と探していた時に見つけたのがこの最中でした。

喜信堂は昭和6(1931)年に創業した、北海道の名寄(なよろ)市にあるお店。創業者の方が大正時代に“菓子づくりを学びたい”と当時菓子づくりの技術に優れた土地として広く知られていた小樽の和菓子店「愛信堂」に弟子入り。修行を終えた際、愛信堂より「信」と「堂」の2文字をもらい、“お菓子を通じて喜びをお届けしたい”との思いと合わせて、「喜信堂」と名付けられました。

「四季の宴」はあんこ好き、そして最中好きにはたまらない大きな最中。中には季節を表す4種類のあんこが入っています。手に持つと、とにかく大きいそのサイズにびっくりしてしまいます!!!

直径13.5cm、厚さ2cm。最中の皮に使用されている「はくちょうもち」という品種は北海道を代表するもち米の品種で、お店のある名寄市は生産量が最も多いのだとか。サクサクでもち米の香ばしい香りを感じられます。早速、中のあんこを見ていきましょう!

まずは春、かわいらしいピンクのあんこはゆかりあん。爽やかで春らしさを感じるあんこ。割れ目が入っているので手できれいに4等分することができます。最中には“喜信堂”の文字。

夏のあんこは小倉あん。しっかりとしたつぶあんであんこのまめまめしさを感じることができます。あんこといえばやっぱり小豆。ほっこりと安心する味わいです。

秋のあんこは抹茶あん。

緑が美しい抹茶あんはしっかりとした抹茶の風味を感じられつつもあっさりとしたあんこです。最後の冬は大手亡豆で作られたきんとんあん。

白のあんこが輝いています。真逆の季節に思いをはせながら食べるお菓子はいつもとは違った味わいを感じられます。

こんなに大きい最中どうやって食べ切るの!? と思っていましたが、あんこはあっさり、皮はサクサクであんこの食べ比べをしているうちに思ったよりもあっという間になくなってしまいました。それでも、何度かに分けて食べることができるので「なくなってしまう、悔しい」という思いをせずに思う存分楽しむことができました。

冬が終わり、春は始まったばかり。巡る季節とともに今年はどんなことが起こるだろう、そんなことを思いながらそれぞれのあんこを味わってみてください。

文:せせなおこ