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お取り寄せ連載企画 おやつの時間 「第108回 餅文総本店の春の生ういろ」

せせなおこ

こんにちは、和菓子文化研究家のせせなおこです。この連載では、何げない毎日がちょっといい日になるような、そんなおやつを紹介します。

今回も前回に引き続き、名古屋にある餅文総本店(もちぶんそうほんてん)のお菓子を紹介します。名古屋ういろの元祖のお店である餅文総本店は1659年に創業した長い歴史を持つお店。元々「ういろう」というのは室町時代に中国から伝わった薬の別名として使われていました。その薬に似ていた菓子、その薬の口直しとして使われた菓子、などの説がありますが、菓子のこともういろう(外郎や外良とも)と呼ぶようになりました。

そんなういろうが名古屋に伝わったのは、尾張藩の御用商人で餅文総本店の初代餅屋文蔵が二代目藩主徳川光友の知恵袋として仕えた陳元贇(ちんげんぴん)から製法を教わったのが始まりとされています。陳元贇は明国の出身で書、医学、菓子の知恵が深かったそうです。

餅文総本店では極上ういろや献上ういろなど最高級の米粉が使用された特別なういろを味わうことができます。今回紹介する生ういろは季節の素材が使われた、旬を感じることのできるういろ。暦の上では春。というわけで、今回は春らしい「桜」と「よもぎ小豆」を選びました。

「桜」のういろはピンクのういろ生地の上に桜の葉がのせてあり、まるで桜餅のような華やかさがあります。

なんと、ピンクのういろ生地の下にはあんこのういろ生地。2層仕立てのういろになっていて、なんだかちょっとぜいたくな気分です。

ういろ生地はもちもちとしていて、とてもやわらかく、桜の葉っぱの爽やかな香りに一気に春気分になります。

そしてもう一つは「よもぎ小豆」。よもぎの生地の上に小豆が散りばめられています。

よもぎのういろはどんな感じなんだろう?とワクワクしながら食べたのですが、なんとびっくり! 桜のういろとは異なる、まるでよもぎ餅のようなもっちりと弾力のあるういろ生地。濃厚なよもぎもたまりません!

少し冷やして食べたり、電子レンジで少し温めて食べたり。さらに、トースターでちょっとだけ焼いたりするのもおすすめです。名古屋に行くたびに気になっていたういろですが、今回ういろというお菓子の新しい一面を知れたような気がします。

本当にどこを切り取ってもかわいらしくて、春を眺めているような温かい気持ちになれるういろたち。ピンクと緑で本当に春が待ち遠しくなる商品です。

文:せせなおこ