こんにちは、和菓子コーディネーターのせせなおこです。この連載では、何げない毎日がちょっといい日になるような、そんなおやつを紹介します。
今回紹介するのは、長い歴史をもつ京都の和菓子屋さん、鶴屋吉信の新商品「茶茶音(ちゃちゃね)」。鶴屋吉信は伝統を守りつつ、新しいことにチャレンジするとてもお気に入りのお店です。そしてなにより、どのお菓子もおいしい! おいしい和菓子で癒やされたいときも、大切な人においしい和菓子を食べてほしいときも、食べる人みんなを笑顔にしてくれる和菓子屋さんです。
「茶茶音」は日本伝統の緑茶の魅力と、それによって輝く和菓子のおいしさを体験してほしい、そんな想いから誕生したお菓子。とてもかわいらしい「茶茶音」という商品名には宇治のお茶師が和菓子づくりのために本気で選びぬいたお茶と、京菓子職人が素材から丹念に作り上げる和菓子が奏でる、味わいの音色、という思いが込められています。
味は抹茶とほうじ茶の2種類。800年のお茶づくりの歴史を持つ京都府内産・宇治の抹茶・ほうじ茶がたっぷりと使用されています。
まずは抹茶からいただきましょう。ころんとした見た目が本当にかわいいです! 抹茶のおまんじゅうには丹波大納言小豆がちょこんとのせられています。袋を開けた瞬間に香る、濃厚な抹茶の香り……!!!
生地はしっかりと焼き上げられていておまんじゅうの生地というよりはソフトクッキーのような印象。きれいな緑色がとても美しいです!
そして、ほうじ茶。ほうじ茶にはくるみがのっていて、カリッとした食感がいいアクセントになっています。香り高く香ばしいほうじ茶味はお茶を食べている! と、飲むだけではないお茶の新たな魅力を感じることができます。
どちらも中には白あんが入っているのですが、まろやか! 濃厚! クリーミー! この白あんがほろ苦いお茶の風味をやわらかく包み込みます。ホッとやさしい気持ちになれるおいしさ……。
一般的に高級なお茶は、香りがよく、うまみ・甘みが多く、さらりとしたものが好まれるんだそう。しかし、「茶茶音」のこんがりと香ばしく、バターのコクと風味も香る“強い”生地を活かすには、あえてうまみや甘みよりも、お茶の香りとガツンと強い「苦み」を主役にしたお茶選びが行われています。
確かに、今まで食べてきたお茶を使ったお菓子でこれほどまでにお茶が濃厚で、苦味を感じるものはなかったかも。かわいいお菓子たちの誕生の秘密を知って、よりおいしく、そして愛おしく感じることができました。
- <今日のおやつ>
鶴屋吉信「茶茶音」4個入り 1,296円(税込)
文:せせなおこ