- 1.鎌倉時代の商業の中心・大町四つ角にある和菓子屋さん
- 2.可愛らしい包みに思わずワクワク「いちご大福」
- 3.湘南らしい海苔の香り‥ファンの多い「麩の饅頭」
- 4.濃厚なバターと甘さ控えめの餡が絶妙「バターどら焼き」
1.鎌倉時代の商業の中心・大町四つ角にある和菓子屋さん
まっすぐ進めば材木座へ。若宮大路の並ぶように通る小町大路は、近くに神社仏閣の多い昔ながらの面影を、あちらこちらに感じるところ。下馬から続く道との十字路に、今年で創業84年目を迎える和菓子屋さんがあります。
明るい店内には大きなショーケースがあり、練り切りや落雁、そしてどら焼きや大福など おやつにちょうどいい、飾らない和菓子とちょっと気になる和菓子が並んでいました。
2.可愛らしい包みに思わずワクワク「いちご大福」
パッとショーケースの中で目を惹く可愛らしさ!いちごを模した包みの「いちご大福」。
いちご大福 250円(税込)
大くにで人気の和菓子は、季節のお菓子に団子に大福。春といえば桜餅ですが、同じくらい並んで買われていくのが「いちご大福」です。
粒あんにいちごが一粒。フルーティーな甘さとあんこの甘さが、それぞれの良さを引き立てます。お土産にしたらもらった人の喜ぶ顔が浮かびそうですね。
またフルーティーなお菓子で、特に初夏にかけて人気が増えていくのが「琥珀シーグラス」。色鮮やかな琥珀糖も、全て果物やお花からの色で付けしたもの。青色はバタフライピーというお花だそうですよ。
3.湘南らしい海苔の香り。ファンの多い「麩の饅頭」
大くにでは鎌倉では数少ない、麩まんじゅうもつくっています。清々しい笹の葉を開くと、まず鼻をくすぐる笹の香り。その次にくるのが、唇にプルッと伝わる瑞々しさ。綺麗な緑の生麩からは海苔の風味。
麩の饅頭 200円(税込)
ああ、ここは海の古都、鎌倉らしい和菓子だなと感じてしまう味でした。
4.濃厚なバターと甘さ控えめの餡が絶妙「バターどら焼き」
バターどら焼き 200円(税込)
時代の流れに合わせて和に洋を重ねる和菓子。大くに4代目の山内さんが「美味しいですよ」と勧めてくれたのが「バターどら焼き」です。 しっとりとした食感に、甘い皮に甘さ控えめの粒あん、そして濃厚なバターの塩気が合い、美味しい。
「あんことバターの相性は抜群です」の言葉の通り、本当にぴったり。この美味しさは「甘いものは好きでも、甘すぎるものはちょっと」という人にもしっくりくる味です。一度購入するとついつい続けて買い求める人も多いのだとか。
また、のぼりにもあった気になる「あんぱん饅頭」。あんを包む生地は、カステラに近い味でしっとりとした食感。この柔らかさは、寒天が含まれているからなのだそう。けれど、外側はパンのような歯ごたえがあり、なんとも不思議な感じ。
あんぱんのようであんぱんではなく、饅頭のようで饅頭ではない、まさにあんぱん饅頭という言葉がぴったり。
あんぱん饅頭 180円(税込)
和洋折衷のユニークな和菓子は会話も弾みそうですね。
大くにのロゴはユーモラスに描かれている打ち出の小槌。そして、店内には大黒天様の姿も。店名の「大くに」はやっぱり大黒天様から付けられたんですか?と尋ねたところ、「ああ、確かそうかも」とあっさりとした答えが返ってきました。
大くにの魅力は、さりげなさと飾らなさ。 国産の材料を使い、丁寧につくるからこそ、どの菓子もすんなり口に馴染みます。両親に頼まれてお菓子を買いにきた人、おやつに何にしようか迷いながら買って帰る人など、近所の方々が訪れていました。
「食べる人が食べたいものをつくるのが一番」そんなまっすぐな気持ちが伝わってきます。 山内さんがこれからつくっていきたいのは「果物の香りを感じる和菓子」。そのうち、また新しい和菓子に出会えるかもしれません‥楽しみですね!
取材・文:都野雅子