横浜

【崎陽軒】お菓子には 日本人に馴染みある“和”のエッセンスをどこかに

田中 恵子

崎陽軒より、2019年11月1日に発売された「横濱の灯り」。崎陽軒×関東学院大学×横浜ウォーカーの3者共同商品開発プロジェクトから生まれた、新商品です。


横濱の灯り(6個入り)700円(税込)

こちらの商品、2018年3月に創業110周年とシウマイ誕生90周年の『崎陽軒』を特集した、株式会社KADOKAWA発行のムック本「崎陽軒Walker」の出版を機に、動き出したプロジェクトだそう。若年層にも受け入れられる“横浜の新名物”を作ろうと、約1年かけて商品開発が進められました。

2018年4月に関東学院大学で「長く親しまれるもちっとした菓子」をテーマに、商品企画案を募集。学生5~6名からなる8チームの応募のうち、最終で選ばれた1案をプレゼンした学生達と共に、『崎陽軒』がこれまで培ってきたノウハウを結集させて、商品化に至ったとのこと。

完成した商品は、3色のジャムを各々白あんで包み、外側を餅のような食感で包んだ和洋折衷なお菓子。味は、「レモン」、「あんず」、「ラズベリー」の3種。「あんず」は「シウマイ弁当」にも入っているあんずから、外せないフレーバーとして真っ先に決まったそうです。

横濱の灯り

横濱の灯り

見た目、焼き菓子のようで実は生菓子。もちっと、ぷるるんとした外側の生地をかじれば、白あんと甘ずっぱいジャムのハーモニーが口いっぱいに広がります。白あんを使用したのは丸い形を保つためのアイディアでもあり、年配層に親しまれている『崎陽軒』ならではの発案。

「弊社で販売している月餅もそうですが、“中華”というジャンルにもっと親しみをもっていただけるよう、日本人の口に馴染みある“和”の素材を商品に取り入れることが多いです」と話すのは、崎陽軒・広報の小川さん。

“洋”のジャムを、“和”の白あんで包むことで、ビビッドカラーに包まれたインパクト大なお菓子を、一口食べると、どこかホッとさせる優しい味わいに変えさせるのは“和”のもつ力かもしれません。

横濱の灯り パッケージ

また、パッケージには、近代日本を支えた横浜を象徴するモチーフ「ガス灯」が描かれています。灯りが中から漏れ出ている様子をイメージし、袋と蓋にスモークをかけたのもこだわりだそうです。

こちら、神奈川・東京を中心とした約150店舗と通信販売で販売されているのでチェックしてみてください。

そして、もう1つ『崎陽軒』のお菓子をご紹介します。

横濱月餅(8個入り)1,130円(税込)
横濱月餅(8個入り)1,130円(税込)

2001年に発売され、約20周年を迎える中華菓子「横濱月餅」ですが、『崎陽軒』の月餅は一味違います。広報・小川さんのコメントにもあるように、月餅にも“和”の要素が盛り込まれています。

横濱月餅

本来、月餅はラードを使用しますが、一切使わず、バター風味の皮に和風あんを包んでいます。牡丹や桃など植物が天面に描かれ、「小豆」、「栗」、「宇治抹茶」、「黒ごま」に季節限定の1種を加えた5種のフレーバーで販売。和風あんだから、脂っぽいしつこさがなく、食べやすい味わいです。

季節限定の味は、春は「桜」、初夏は「マンゴー」、夏は「オレンジ」、秋は「焼き芋(※画像上部)」、冬「チョコ&チョコ」。食べやすい一口サイズで1個単位からの購入も可能、お土産に人気だそうです。

「シウマイ弁当」でダントツの知名度を誇る『崎陽軒』。

中華というジャンルをより身近に感じてもらいたい、そうした想いから日本人に馴染みある“和”のエッセンスを商品に取り入れ、成長してきた『崎陽軒』。

幅広い層から愛される現在の『崎陽軒』ブランドを確立した背景には、こうしたたゆまぬ企業努力があるからに他なりません。これからも横浜のトップランナーブランドとして走り続けていってもらいたいです。

取材・文:田中恵子/撮影:土肥さやか