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冬至は厄祓いのチャンス。かぼちゃとゆずで来年の運気アップを目指そう。

oriori編集部

暦の上では二十四節気の一つである立冬も過ぎ、いよいよ本格的な冬が始まりました。
これからは冬至にかけて、だんだんと日が短くなっていきます。もっと先のことを言えば、冬至を境に日に日に昼の時間が長くなっていくことになります。そのため、冬至は「一陽来復の日」とも呼ばれ、陰が極まって陽に変わる日、冬から春に向かう良い兆しの始まりともいえます。

そして、冬至に向けて、よりおいしくなっていく食材が「かぼちゃ」です。
夏の終わりに収穫されたかぼちゃは、保存食として秋から冬にかけて甘味を蓄えていくとともに、栄養価も高まっていくのです。かぼちゃは、β-カロテン、ビタミンB、C、Eなどのビタミン類を多く含んでいる緑黄色野菜の代表格で、カリウムや炭水化物(糖質)、食物繊維などもバランスよく含有しています。

冬至の日には、「ん」の付くものを食べることが「運盛り」と呼ばれ、大変縁起が良いとされています。かぼちゃの別名は、そう「なんきん」。「ん」が2つも入っているのです。だから冬至に食されてきたのですね。

こう聞くと、冬至にかぼちゃを食べるのは、古くからある風習のように思えますが、カボチャが日本にやってきたのは16世紀の事、それほど昔の習慣ではありません。
かぼちゃはポルトガルの商船によって、その名の通りカンボジアから渡来したのですが、中国の南京経由で入って来たことから前述の「なんきん」の呼び名がついたようです。また、漢字表記では「南瓜」となっているのも、かぼちゃの中国語表記の南瓜(ナングァ)に由来します。ただし元々の原産地は中南米のあたりとされています。何という長旅、ほぼ地球を一周してやって来たのですね。

ちなみに、ハロウィーンに活躍するオレンジ色のパンプキンは主に観賞用のペポかぼちゃで、野生種では毒を持つものもあるため、食用には向いていません。日本で食用として広く食べられているのは、甘味が強く、緑色の肌を持つ西洋かぼちゃの仲間で、英語ではスクワッシュといいます。

そして、甘いかぼちゃを使った和菓子といって思い浮かぶのは、鎌倉いとこの「かぼちゃのきんつば」。

店名の由来となった、かぼちゃと小豆の煮物を「いとこ煮」と呼ぶのは、煮えにくい食材から追い追い材料を足していくことから。おいおい(甥甥)にかけた語呂合わせが起源と言われています。

きんつばは本来、あんこを水で溶いた小麦粉などをつけながら焼いた和菓子ですが、吉野の本葛を用いて蒸しあげられた「鎌倉いとこ」のきんつばは、かぼちゃあんとふっくらと炊かれた小豆を、衣が包んでいます。

使われているのは、ホクホクとした食感と強い甘味が特徴の北海道産えびすかぼちゃ。砂糖の甘さとは違う、上品でほっこりとした自然な甘さです。
中の小豆は北海道産大納言小豆の豊祝。かぼちゃあんの中でしっかりと小豆の形を保っていながらも、口の中ではほろりとくずれ、かぼちゃの甘さと同化していきます。小豆あんの甘さが苦手という人も、こちらのきんつばの優しい甘さなら、きっとおいしく食べられることでしょう。

もうひとつ、冬至の風習といえば、ゆず湯があげられます。
元々は、江戸時代に銭湯が客寄せのために始め、冬至を「湯治」、ゆずを「融通が利く(体が丈夫になる)」という語呂合わせからゆず湯に入るようになったといわれています。こちらも比較的新しい習慣なんですね。また、強い香りがするゆずには邪気を祓う力があるという考えもあったそうです。

2022年の冬至は12月22日。十日経てば、もう新年です。
年の瀬にかぼちゃとゆず湯で厄をはらって、運気の上がった身体で新しい年を迎えたいものですね。

文:oriori編集部