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お取り寄せ連載企画 おやつの時間 「第113回 清水屋の小饅頭」

せせなおこ

こんにちは、和菓子文化研究家のせせなおこです。この連載では、何げない毎日がちょっといい日になるような、そんなおやつを紹介します。

今回紹介するのは、静岡にある清水屋の「小饅頭(こまんじゅう)」です。『江戸時代から続く 老舗の和菓子屋』という本を眺めていて見つけたお店です。こんなに歴史のあるおまんじゅうがあるなんて! 早速食べてみなければ、と注文しました。

清水屋のある島田市は東海道五十三次の23番目の宿場町「島田宿」として栄えていました。小饅頭が誕生したのは江戸時代、享保年間(1722年頃)のこと。清水屋五代目の伝左衛門は島田宿に長く逗留していた紀州浪人の置塩露庵(おしおろあん)と知り合い、甘酒皮のまんじゅうづくりの秘法を伝授され、評判のおまんじゅうになったのだそうです。

そんなおまんじゅうが参勤交代で島田宿を訪れていた、松江藩の松平不昧公の目にとまり、「一口で食べられる大きさがよい」と助言を受け、その通りにすると、街道一と称されるように。そうして旅人をはじめ多くの人々に愛され、今日まで受け継がれています。

静岡の銘菓でありながら、あの不昧公が関わっていたなんて! まだまだ知らないお菓子の歴史に驚かされます。

小饅頭は冷凍状態で届きます。包装の裏に色々な食べ方が書いてあり、まんじゅうを揚げて食べてもいいのだとか! なるほど、お家で揚げまんじゅうができるだなんて想像もしませんでした。次は揚げまんじゅうを作ってみようかな。考えるだけで楽しくなります。

今回は蒸し器で蒸して、ふかふかのおまんじゅうにしてみました。半分に割るとふわ〜っとこうじの香り。

そして中からはたっぷりのあんこ! ふかふかの生地に包まれたなめらかなあんこ、たまりません! 名前の通り小さめサイズなので、ついつい2つ目に手が伸びてしまいます。

個人的には生地が厚めなのもすごく好みのポイントでした。薄皮まんじゅうも好きなのですが、しっかりあんこを包む生地の包容力! しっかりと生地のおいしさを感じられます。

食べておいしいのはもちろんのこと、何百年も前の人々と同じものを食べられる、そんなロマンある体験ができるのも和菓子を食べる楽しさの一つではないでしょうか。近年ますます和菓子屋さんが少なくなっていっていますが、こうしたロマンを感じられる和菓子がこれからもできるだけ長く残っていくことを願っています。

文:せせなおこ