様々な本屋が並ぶ、世界一の古書店街・神保町。靖国通りと千代田通りが重なる場所にどら焼き専門店「嘉祥庵」があります。路面店で信号待ちの間に”自分のおやつ”として1つ買い求める人の姿も少なくありません。
「どら焼きの皮は焼いたその日しか販売しない」と毎日出来たてのどら焼きが店頭に並びます。このどら焼きを作っているのが、羽根付きたい焼きで有名な「神田達磨」を開いた大浜さん。
「どら焼き」と「たい焼き」‥似ているようでいて実は全く違うそれぞれのおいしさ。文字通り研究に研究を、現在進行形で重ねているどら焼きを、今回ご紹介します。
1.どら焼きのあんこは甘すぎない、控えすぎない
「嘉祥庵」のどら焼きがそのおいしさの定義として求めたのは大きく2つ。
「適度にしっとり感があるので。お茶なしで1つを完食できること」。そして「夢中で食べていたら、気が付いたら食べ終わっている」こと。
そのために、あんの甘さとどら焼きの皮に、とことんこだわっています。
嘉祥どら焼き 200円(税込)
一番人気の「嘉祥どら焼き」は、食べるとまず感じるのが皮のしっとりとした食感にほのかな甘味。次に、あんのちょうどよい甘さが口の中に‥
一言で言うなら「おいしいけれど飽きのこない味」というのがぴったり。この当たり前のようなおいしさが「嘉祥庵」が求めるどら焼きでもあります。
鳴門金時芋あんどら焼き 220円(税込)
「嘉祥庵」のどら焼きは、いわゆる師匠から学んだわけでもなければ、どこかで修行したわけでもない。大浜さんが、その味を徹底的に一から研究して、試行錯誤を繰り返し生まれたものです。
2.知らないから追い求める。研究という名の修行を重ねて
元は外食産業で上場企業役員の経歴を持つ大浜さんが、和菓子作りを始めたきっかけは、老舗たい焼き店のたい焼きを食べて、そのおいしさに感動したことが始まりとのこと。
たい焼きに挑戦し、その次に挑戦したのが、このどら焼き。
こしあんどら焼き 220円(税込)
おいしさの理由を知らないからこそ、あんのバランスのほどよい甘さを研究し尽くして、糖度「52度」にたどり着きました。あんこが甘すぎると途中で飽きてきますが、かといって甘さを控えすぎると、皮に負けしまって美味しく感じない。
「皮の薄くて熱いたい焼きとは、全く違うあんなのです。」
どら焼きの皮は原則三同割りで、砂糖、小麦粉、卵が1:1:1。この分量を崩しすぎると違う食べ物になってしまうことも実際に体験しながら学びました。材料が良ければ、よりおいしくなるのかと、高級な卵を使ってみたりしましたが、味のバランスが崩れてしまいました。
一粒栗のどら焼き 240円(税込)
しっとりとした食感のためには、蜂蜜が必要なことに気がつき、その使用する蜂蜜も何が一番合うのかを研究。たどりついたのが「れんげの蜂蜜」でした。
味だけではなく、皮の厚さも何度も試行錯誤を繰り返し”薄すぎず厚すぎず”、あんの蜜を吸った状態でも、”しっとりふんわり感”を保つことが出来る適度な厚みを追求。材料の小麦粉も、粉の旨みを感じる強力粉を使用しています。
この研究が大浜さんにとっての修行。わからないからこそ納得のいくまで数字や裏打ちされた技術に落とし込み、「おいしさの理由」をわかりやすく形にすることができたといいます。その自負は「嘉祥庵のどら焼きの2日目、3日目の美味しさ」にも繋がっています。
3.通(ツウ)が欲しがる「皮だけ」や「どら焼きパンケーキ」
皮だけ 120円(税込)
「嘉祥庵」には、どら焼きの皮のみの「皮だけ」という商品も。これは少なからずいるいわゆる「皮派」の人達のリクエストに応えたもの。どら焼きの皮自体に自信があるからこそ、あえて商品として販売しています。
また新商品として、初夏から登場したのが「どら焼きパンケーキ」。
どら焼きパンケーキ 540円(税込)
きっかけは「皮だけ」。これまでも、あんこ以外にアイス、プリン、ハム、チーズなど色々な具を合わせてもかなり美味しいことが判っていましたが、この皮を楽しんでもらいたい!という想いから誕生しました。
中身はどら焼きの皮にあんとバター、それにメープルシロップ。あんとバターを皮で挟めば、そのまま「バターどら焼き」に。メープルシロップとバターで「パンケーキ」といろいろな楽しみ方ができます。
そのほか、オススメなのが「チョコクリームどら焼き」。
チョコクリームどら焼き 220円(税込)
こちらも甘さ控えめのチョコレートクリームが、どら焼きの皮とよく合い、食べやすい甘さ。お子様にも人気があります。
専門店として、日々どら焼きに向き合う「嘉祥庵」‥研究してこだわり抜いた逸品を、ぜひみなさん味わってみて下さいね。
取材・文:都野雅子
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公式ページ【嘉祥庵】
毎日出来立てのどら焼きを求めてぜひお店へ♪