- 1.江戸時代、五代将軍・綱吉公の代に創業。趣のある佇まいも人気の老舗
- 2.平安時代の武者にあやかる権五郎力餅。変わらぬ味を求めて通う人多数
- 3.地元で人気のすあまは柔らかく、ついつい手が出るほんのりとした甘さ
- 4.11種類の福面まんじゅう。豊かな表情も魅力の1つ
- 5.9代目が受け継ぐおいしさ。無理せず、たゆまず、変わらずに
1.江戸時代、五代将軍・綱吉公の代に創業。趣のある佇まいも人気の老舗
鎌倉市・坂の上。たびたび映画やドラマのロケ地としても選ばれるなんとも言えない佇まいで目を引くのが「力餅家」さん。
開業は今から300年以上も前、江戸時代に遡り、時の将軍は五代・綱吉公の頃。
近くには鎌倉景正を祭神として祀る御霊神社があり、この景正の通称・権五郎にあやかってつくられたのが有名な権五郎力餅です。
権五郎は武芸達者な武者で力が強く、力比べをした石にそなえた餅がその始まりと言われています。
白地に力強く書かれた店名は昭和の頃、謙慎書道会を立ちあげた一人、書道家・林祖洞が書いたもの。
磨かれたガラス戸をくぐると何十年かをタイムスリップしたような懐かしい店内に評判の権五郎力餅が迎えてくれました。
2.平安時代の武者にあやかる権五郎力餅。変わらぬ味を求めて通う人多数
権五郎力餅10個入り 670円(税込)
権五郎力餅は10個入りと16個入りの2つがあり、16個入りは1,080円。
つややかなこしあんに包まれた餅は、噛むとしっかりともち米の甘みが広がります。
賞味期限が当日中なのも、次の日になると固くなってしまうから。1つずつ丁寧に家族を中心に職人がつくる餅はあんこの程よい甘さと餅の味がちょうどよく、飽きの来ない味です。
少しでもおいしく食べて欲しいから、と餅は開店に合わせてつき上げ、昔ながらのつくり方を変えず家族を中心とした職人さんがつくっているので、この場所で販売する分でいっぱい。ここでしか味わえないおいしさとしても知られています。
そのため、少し日持ちがする求肥でできた力餅もあるのでその日のうちに食べられない時はこちらもおススメです。
3.地元で人気のすあまは柔らかく、ついつい手が出るほんのりとした甘さ
すあま 1個140円(税込)
近所の方が買い求めることが多いすあま。もちもちの食感にほんのりとした甘みがくどくなく、後味が軽いのでパクパクと重ねてしまうほど。
あれとこれを、と好みに合わせて買われていく人も多く、おやつに差し入れにと気軽に楽しめるのも魅力です。
4.11種類の福面まんじゅう。豊かな表情も魅力の1つ
福面まんじゅう 1個170円(税込)
長細い面立ちやまん丸の丸顔など表情豊かな福面まんじゅうは、権五郎力餅と同じく御霊神社で行われる面掛行列で使われる面を模したもの。天狗面や火男、おかめなど11もの面があります。
甘みの強いカステラの中にはあんこが入っている人形焼きのようなお菓子。映画「海街ダイアリー」で主人公の好物としても登場しています。
5.9代目が受け継ぐおいしさ。無理せず、たゆまず、変わらずに
白がこしあん、茶色が粒あん共に 140円(税込)
力餅家さんの店名が書かれたのれんの上にある「夫婦饅頭」の看板。この夫婦饅頭、実は鎌倉らしいお菓子を、と力餅家さんを始めとした数店舗が源頼朝と北条政子の夫婦にちなんだ饅頭を販売することになり、つくられたといいます。
この力餅家を切り盛りしているのが現在9代目となる安齋さんご夫婦。
力餅家は300年以上も続く老舗。創業から変わらないその味を守るにはこの1店舗で精一杯だと話してくれました。
そのため、以前は乞われて鎌倉駅前に出していた店も敢えて閉めたと言います。
この味と店と、その全てが調和して忘れられないお店として記憶に残ります。鎌倉に訪れたらぜひ訪れてみて下さいね。
取材・文:都野雅子