昔から変わらぬ味とほっこりビジュアルで今も愛され続ける「鳩サブレー」。
神奈川の銘菓であり、日本全国でも認知度の高いお菓子のひとつ。鳩サブレーを販売する「豊島屋」は本店を鎌倉に置き、近年では、いくつかの飲食業態を手掛けています。そのなかの1つ『豊島屋菓寮 八十小路』をご紹介します。
1.今も愛され続ける鳩サブレー
鳩サブレーが誕生したのは、明治27年の創業間もない頃。
この時代にそろう材料でつくったため、今でいう洋菓子の材料があるわけもなく、和菓子の材料で生まれたため、鳩サブレーはれっきとした和菓子。
ですから、デパートコーナーでも和菓子ゾーンに「豊島屋」があるのもそのため。このエピソードを知ると、和菓子を提供する甘味処『八十小路』が誕生したのも必然と納得なのです。
2.隠れ家的佇まいの『八十小路』
鶴岡八幡宮に向かうメインストリートから一本裏手に…
鶴岡八幡宮に向かうメインストリート、若宮大路に『豊島屋 本店』を構え、『八十小路(はとこうじ)』はその一本裏手にあります。
表の喧騒が嘘かのような静かで落ち着いた雰囲気。凛とした風情が漂う、心地よい空間が広がっています。『八十小路』でいただける甘味メニューはバリエ豊富。
まず、はずせない逸品がこちら。
本わらび餅 800円
オーダー毎に手作りで練り上げる、出来たてほかほかがやってきます。神奈川県・相模原津久井産のきな粉がたっぷりとかかり、口にいれた時の至福感といったら、もう!
ぷるん、とろん、とした食感とほんのり温かい温度が口のなかで溶けていく味わいは、贅沢の極み。きな粉は大豆の風味と香ばしさがあり、きめ細やかな舌触りがわらび餅との相性も抜群です。
こちらは、中央に鳩をかたどった寒天がポイント。
あん蜜 800円
蜜は、黒蜜と和三盆の白蜜の2種類から選べます。器下にはこしあんが隠れていて、食べ進めていく楽しみも。ぷるんと弾力ある白玉に、寒天、はんぎょくなど、色々な食感と味の一体感も楽しんで。甘さ控えめでさっぱりといただけるので男性にも好まれるのでは?
今回、鳩を象っている金型を見せていただきました。厨房で使っているこの金型はこれ1個のみ。貴重です。年数を重ねるごとに、この金型もきっとお店と共に味わいを増していくことでしょう。
最後にこちらは冬の寒い時季に食したい一品。
御膳しる粉 800円
上質な小豆を丁寧に越した、しる粉に焼き餅が1つぷかりと。とろみのある甘さと香ばしい香りのお餅を同時にコクンと飲み込めば、「あ~冬だな」なんて思える、ほっとする一杯です。つけ添えの塩昆布で箸休めをしながら、少しずつ、大事に。カラフルなおいりは、季節によって色が変わるそう。
3.鎌倉の土地と民に愛されて
お客様あってこその豊島屋
「鎌倉のお客様に可愛がっていただき成長してきた豊島屋」だからこそ、鎌倉のお客様に感謝の意を込めて、2006年10月にオープンしたのがこの『八十小路』とのこと。
以前から本店の脇道を「鳩小路」と呼んでおり、豊島屋初代が崇敬していた鶴岡八幡宮に通じる道すがらにあるところから「八十小路(はとこうじ)」と名付けた店名で、どこか気高くも凛とした印象のある佇まい。
表の喧騒とは裏腹に、静かでのんびりとしたお茶時間を楽しむことができます。ちなみに、ランチメニューもあります。
また、帰りには、この小道・八十小路を通って本店へ立ち寄ってみましょう。鳩サブレーはもちろん、ショーケースに並ぶ和菓子や隠れた人気を誇る銘菓にも目を向けてみましょう。
小鳩豆楽 缶入り648円
豆粉に和三盆で甘味を加えた落雁。鳩を模ったコロンとしたこの見た目もかわいらしく、口に入れるとふわっと溶けてなくなるお茶請けにぴったりの一品です。
自分用に、大切な人に、いろいろなお土産を本店でゲットする楽しみも『八十小路』とセットで楽しんでみてはいかがでしょうか。