秋葉原・神田

【神田達磨 神田小川町本店】パリッとした食感がたまらない、名物「羽根付きたい焼き」!濃厚カスタードもオススメ

都野 雅子

かじりつけば熱々の餡。誰もが一度は食べたことがある、庶民的な和菓子の代表といえば”たい焼き”ですね。

思い浮かぶたい焼きの形はもちろん鯛の形ですが、神田小川町にある「神田達磨」では、”羽根付き”のたい焼きが食べられるのをご存知ですか?

神田達磨

2007年に開業した「神田達磨」は現在7店舗。新たなたい焼きを生み出した店として多くのメディアに取り上げられています。今回は神田小川町本店と「羽根付きたい焼き」をご紹介します。

1.ありそうでなかった羽根付きたい焼き。ワクワクしながら初体験

神田達磨 羽根付きたい焼き 粒あん 180円(税込)

たい焼きはなんといっても焼きたて。神田達磨のたい焼きの型は1つに6個あり、3分で焼き上がります。

たい焼きがよく売れる季節には一度に何個も購入するお客様が多いため、小川町店にある3つの型はフル稼働になるのだとか。


神田達磨

手際よくたい焼きの方に皮の生地を流し込んでいきます。そして驚くほど薄めな気も。


神田達磨

ここで、すかさず粒あんを乗せていきます。


神田達磨

その上から皮の生地を満遍(まんべん)なくかけ回し、鉄板で挟んで待つこと3分。


神田達磨

「羽根付きたい焼き」が出来上がりました。


神田達磨

“サクサク”とたい焼きを切り分けていきます。


神田達磨

出来たてのたい焼きからは、香ばしい匂いがします。見るのも楽しくなるくらいの手際の良さ。そして早速頂いてみると、「パリッ」「カリッ」とした羽根の部分と、粒あんを包んだ皮のしっとりとした食感‥そして熱々の粒あんが、もう絶妙!

神田達磨

「皮だけ食べても、そんなに味はないでしょう。あんこだけ食べても、そこまで甘さは感じないでしょう‥だけど、合わさるととってもおいしくなるんです。」
と話してくれたのは店長の岡田さん。

そう言われて、皮だけ食べてみると確かにあまり味を感じず食感だけが印象に残ります。それが口の中で一緒になるとこんなにも変わることに驚きました。

「たい焼きが一番おいしいのは、やっぱり焼きたてです。1分もすると皮がパリッとしなくなってきます。」
これがたい焼きの最大の弱点でもあり、またその瞬間が”最高の味”という贅沢さもあります。

そのため、お持ち帰りされるお客様には、少しでも焼きたてを再現して欲しいと、レンジで温めた後にトースターで焼くことを勧めています。試してみると確かに皮が「パリッ」と戻ったので、これはぜひお持ち帰りの際に。


2.なぜ羽根付きになったのか?神田達磨の名物誕生まで

神田達磨

「神田達磨」を開業したのは社長の大浜泰広さん。元は外食産業に身を置き、上場企業役員の経験を持つ、いわばプロの経営者。そんな大浜さんが、なぜ今まで経験のない和菓子の世界に参入したかというと、行列の絶えない老舗たい焼き屋とのご縁があったからとのこと。

「シンプルに皮とあんこだけで、こんなにおいしくなるなんて…と感動し、そこからとことん研究を重ね、様々なたい焼きを食べ歩きました。」
現在も改良は続いていて、原価削減の為に妥協することは一切ないとのこと。

材料の小麦粉は国産、小豆は帯広の川西農協から常に高品質な2等級小豆を仕入れています。また、何より皮の厚さとあんこの相性の良さを研究し、その量や甘さまでも計算され尽くしています。

「子どもの頃、たい焼きの尻尾まであんこが入っていると嬉しかったような記憶があります。」と話すと…

「皮自体がとても美味しい(甘さがある)のであれば、尻尾にあんこは無くても良い。しかし多くのたい焼は、皮自体にはそこまで甘さを持たせていないので、尻尾まであんこが入っているほうが最後まで美味しく食べられるのではないでしょうか。」

「バランスですが、重量比率で、100gのたい焼きの場合に、あんこ50g:皮50gだとあんこが少ない。70g:30gだと、皮が少ない。たい焼きは60g:40gあたりがちょうど良いのです。」

との答えが返ってきました。すごい!

気になる羽根付きたい焼きは、実は開店の3日前まで完成していなかったそう。試作の時にたっぷりと生地を流してみたら、その形に「惚れ込み」販売が決まったといいます。

神田達磨

そして、今ではそれがお店の名物に。


3.クリームや変わり種のたい焼きも

神田達磨 羽根付きたい焼き カスタードクリーム 200円(税込)

羽根付きたい焼きは、粒あんの他にカスタードクリームもあります。このカスタードクリームがとても濃厚でコクがあり、このクリームも粒あんと同じく自社製。その他、期間限定の変わり種のたい焼きもあります。(この時は「お好み焼き」たい焼きでした)

「たい焼きが他のスイーツと一番違うのは、年齢や性別に偏りが無い点だと思います。」

たい焼きはほとんどの和菓子が京都発祥の中、東京発祥の和菓子。また、まだ100年ほどの歴史なんだそう。


お店の名前をなぜ「神田達磨」としたかというと、

「この東京発祥のたい焼きを進化発展させる!育てていきたい!…と思っていたので、奇をてらったネーミングではなく、文化に根差した「達磨」という単語を選ぼうと考えました。」

と大浜さん。

そして、「神田達磨」の名前にはもう一つ

「地域の皆様に、私は”神田”の看板を背負い、当地で地に足ついた商売をします」

という宣言や覚悟のような意味合いで、付けたとのこと。

出来たての「羽根付きたい焼き」を買って、すぐにかじってみて下さい。今までのたい焼きのイメージが変わるかもしれませんよ。

取材・文:都野 雅子