池袋・目白

【池袋 三原堂】江戸川乱歩の好物だった和菓子とは? 三代目考案の「池ぶくろう最中」も人気の老舗和菓子店

都野 雅子

創業昭和12(1937)年。池袋駅の西口から徒歩1分の場所に老舗の和菓子店があります。
お店の名前は「池袋 三原堂」。
池袋を愛し定住したミステリ界の大御所・江戸川乱歩がひいきにしたという老舗です。

池袋で土産を買うならあそこで、と地元の人にも人気の味を求めて連日多くの人が訪れています。

1.ミステリ界の巨匠・江戸川乱歩が愛した味「薯蕷饅頭」

「当時、乱歩先生の御宅があった辺りは緑がとても多く、夜になったら辺りも暗くなる、そんな場所だったと聞いています。」
そう話してくれたのは「池袋 三原堂」三代目の斎藤貴俊さん。

その話は、今もたまに店を訪れるという番頭さんが教えてくれるそう。
現在、江戸川乱歩が暮らした家は立教大学内に保存され公開されています。

乱歩がその家を気に入ったのは蔵があったからで、そこは今、乱歩の蔵書や資料などが保管されています。
その乱歩が好物として口にしたのが、薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)。甘党だった乱歩は店に訪れ買い求め、また番頭が配達もしていました。

その味は今も変らず店頭に並んでいます。

しっとりとした皮にたっぷりとつまったあん。食べやすい大きさで、甘さも量もちょうどいい加減です。

また、お土産にもうれしいのがそのパッケージ。乱歩にちなんで原稿用紙が描かれています。

薯蕷饅頭4個入り 1,040円(税込)

2.手に取りたくなるような可愛らしいフォルム。池袋の銘菓「池ぶくろう最中」

池袋には地元に愛される石像があります。

池袋にゴロを合わせた「いけふくろう」。待ち合わせの目印になるように駅員さんが考案したのが始まりだと言われています。
この池袋を象徴する鳥「ふくろう」をかたどった最中が「池ぶくろう最中」です。

バラ1個230円(税込)。※2個入りから箱があります。

最中の中は粒あんで求肥が入っています。食感もよく、甘さも控えめ。
「池袋 三原堂」で使用する小豆は、北海道産のブランド小豆「雅」。品質が良いと評判の十勝産小豆の中でも特に品質が良かったものを集めたのが「雅」です。

また菓子には、香川県産の和三盆や沖縄県産の黒糖など厳選した素材を使っています。

池ぶくろう最中 5個入り 1,280円(税込)

そのため昔ながらのまんじゅうや最中も上品なおいしさ。お買い求めがしやすいようにと、ばら売りや、ちょっとした贈り物に最適な2個入りから18個入りまで豊富なのもうれしいですね。日持ちもすることから、喜ばれています。

通常の最中の他に紅白の「池ぶくろう最中」もあり、「不苦労」と重なってお祝い事にもぴったりです。

3.今もつながるのれん分けの姉妹店。時代を超えながら新しい挑戦を。

「池袋 三原堂」には都内に姉妹店が他に4店舗あります。これら姉妹店は全て人形町にある「三原堂本店」からのれん分けされたお店です。

そのため共通の菓子もありますが、店独自の菓子も多く、それぞれの場所で個性を生かし人気があります。

共通の菓子で有名なのが「塩せんべい」。薄く焼き上げた煎餅に、醤油と一緒に伯方(はかた)の塩とドイツの岩塩を使ったもの。

塩せんべい 1枚42円(税込)

お米のつぶつぶ食感も楽しく、軽いので何枚でも食べられそうな飽きのこない味。
この「塩せんべい」は本店で焼き上げたものが、姉妹店に届けられています。

「池袋 三原堂」は、最後にのれん分けされたお店で、初代・齋藤助治さんは如才ない方で、方々でかわいがられたのだとか。そのため、顔も広く、江戸川乱歩以外にも文化人との付き合いがあり、日本画家の粛粲寶(しゅくさんぽう)もその一人。

懇意にしていたことから、店で使用する包装紙や紙袋などのデザインを引き受けてくれたそう。
そしてこのデザインを池袋の店だけではなく、せっかくなので、と三原堂全店で使用することにしたといいます。

今も姉妹店は親しく付き合い、初代、二代目からそれぞれ三代目に移っても変らない絆や、店の歴史を知る家族同様の番頭さんなど、温かさが伝わってきますね。

街中で見かければ、三原堂の紙袋だと気が付くデザインが、時代を超えて受け継がれています。

ちなみに池ぶくろう最中の絵は、粛粲寶先生の絵を模して斎藤さんが描かれたもの。雰囲気が似ていて驚きました。

「材料が技術革新で昔よりもいいものを使うのだから、つくり方だって全く昔から同じというわけではなく、今最良のものをつくるということだと思います。そして、最初に食べた和菓子がおいしかったら、きっと和菓子を好きになってもらえますよね。」

初めて口にする和菓子がその人にとって口福であるように、永く愛された味をブラッシュアップしながら、また、新しい菓子も考案されています。
ぜひ味わってみて下さい。

※情報は記事執筆時点のものとなります。価格は購入前にご確認ください。

取材・文:都野雅子