6月16日は和菓子の日です。その由来と歴史については昨年、orioriの記事に書いたので、ここでは割愛します。
今回お話しするのは、和菓子の分類と、和菓子が登録無形文化財に認定されたことについてです。
菓子類は、食品衛生法上では、できたときの水分量によって以下の3種類に分けられます。できあがったときに水分量が30%以上のものは「生菓子」、水分量10~30%のものは「半生菓子」、水分量10%以下のものが「干菓子」となります。
ここになぜ「食品衛生法」が出てくるのかというと、水分が多いほど製品の日持ちがしないので、食の安全の観点からこのような分類がされているからです。おおよその目安ですが、生菓子だと1~2日、半生菓子だと、3日~1週間程度、干菓子では、1ヶ月~3ヶ月程度の日持ちがあると考えていいでしょう。
代表的な和菓子を、この3分類に当てはめていくと、おおよそ以下のようになります。
干菓子に分類されるのは、煎餅、落雁、和三盆糖、おこし、干錦玉(琥珀糖)、有平糖など。
半生菓子に分類されるのが、最中、石衣(松露)、州浜、桃山、甘納豆や錦玉羹など。
生菓子に分類されるのが、練り切り、こなし、羊羹、饅頭、大福、おはぎ、どら焼き、求肥など。
生菓子の中でも、賞味期限が特に短くて、賞味期限が当日中のもの(大福やわらび餅、求肥など)は、朝生菓子と称して売られています。水分が抜けるとおいしさが半減するので、できるだけ早めに食べたいものです。
ただし、3種類に分けられるとは言っても、同じ種類であっても、同じ分類になるわけではなく、水分量が多ければ生菓子になる羊羹も、水分が少なければ半生菓子となることもあるのです。また、最も水分量が多いのが、その名の通り、水羊羹ということになります。
生菓子のうち、和菓子職人が熟練の技術を駆使して一つひとつ手で作り上げ、季節を感じる趣を取り入れた上等な菓子を、「上生菓子」と呼んでいます。上生菓子は茶席で、濃茶とあわせる「主菓子(おもがし)」として出されることが多いものです。その多くが練り切りやこなしによって作られ、花鳥風月、季節の風物や名所、古典作品に題をとった「菓銘」が付けられています。菓銘とは、菓子のカテゴリーではなく、デザインや意匠に対して付けられた名前のことで、和菓子屋が独自の解釈で名付けたものになります。菓銘を知ることで、和菓子に対する趣もぐっと深まります。
そして、2022年の10月に「こし餡に薯蕷や求肥を加えた煉切、こなし等の加工餡の製造」及びそのあんを用いた「菓銘をもつ(季節の)生菓子づくりの技術」が「登録無形文化財」に認定されました。これは、全国の和菓子職人たちの励みになるとともに、和菓子の製造技術の向上と伝承につながる事柄といえます。
もうすぐ認定後初の和菓子の日。この日に合わせて、各地の和菓子屋では、セールなどのイベントも行われるようなので、お気に入りの和菓子店のSNSは要チェックです。これをきっかけに、和菓子の魅力が広く伝わっていくことを願っています。そして、日々の暮らしの中で、和菓子文化を愉しんでみてください。
文:oriori編集部