こんにちは、和菓子コーディネーターのせせなおこです。この連載では、何げない毎日がちょっといい日になるような、そんなおやつを紹介します。
9月になりました! 朝晩が過ごしやすくなったり、日がだんだんと短くなるのを感じ、夏の終わり、そして秋の始まりを感じるようになりました。秋といえば、芋・栗・南瓜、そして、和菓子の主役である小豆も旬を迎え、まさに和菓子の季節と言っても過言ではありません。ということで、今回は、京都・丹波にあるお店「足立音衛門」のどら焼きを紹介します。
足立音衛門は自称栗おたくの店主「おとえもん」さんが、栗のふるさと「丹波」の地で世界中から厳選した素材を使い、一つ一つ素材に向き合い、心を込めた製品を作っているお店です。以前からずっと気になっていたのですが、こだわりの商品ゆえにいいお値段の商品が多く、今回連載50回の節目に記念の意味も込めて選びました。
まず紹介するのは純・栗どら焼き〈美玖里〉。「美玖里(みくり)」というのは栗の品種のこと。美味しく(美)、外観が優れており(玖:美しい黒色の石)、この品種が普及することで産地(里)が豊かになるという願いが込められています。
品質が落ちないよう、温度管理を徹底し、保管期間、加工時間をできるだけ短くし、栗本来の色味、風味を損なわないよう栗のペーストに仕上げられて出来上がったのがこのどら焼きです。どら焼きを半分にすると神々しい、黄金の栗ペーストが登場! 今までの常識を覆す栗が主役のどら焼きです!
とても濃厚でクリーミーで、ますます栗のことを好きになりそう。1個734円とぜいたくな気分を味わえる、とっておきのどら焼きです。
続いて紹介するのは小豆の種類違いのどら焼き。一つ目は、「丹波大納言小豆のどら焼き」。小豆の三大産地の一つでもある丹波地方発祥の晩成品種小豆の品種群名で、その歴史は古く、兵庫県・京都府を中心に栽培される大粒で至極美味な高級品種の小豆が使われたどら焼きです。
丹波大納言小豆は大粒で赤い色が濃く、強い光沢があるのが特徴。なめらかなあんこは生地との相性も良く、しっかりとした甘さがあります。
一方、もう一つは在来品種の丹波大納言小豆である馬路大納言小豆を使って作られている「馬路大納言小豆のどら焼き」です。流通量が少なく非常に希少性が高い小豆で、独特の風味と香りから「畑の宝石」とも呼ばれています。
今まで食べたことのないほくほくとした力強さを感じられるあんこ。ついつい夢中になってぺろっと食べてしまいました! これはクセになります!
2つのどら焼きを比べてみると、あんこの色が違うのがわかりますね。下のどら焼きが最初に紹介した「丹波大納言小豆のどら焼き」上のどら焼きが後から紹介した「馬路大納言小豆のどら焼き」です。それぞれもちろんおいしいのですが、食べるときはぜひ食べ比べをして、味の違いを感じていただきたいです。
待ちに待ったおいしい秋の到来です! 芋・栗・南瓜、そして小豆! ぜいたくな季節を思う存分満喫しましょう!
文:せせなおこ