
こんにちは、和菓子コーディネーターのせせなおこです。この連載では、何げない毎日がちょっといい日になるような、そんなおやつを紹介します。
今回、記念すべき100回目ということで、今まで食べてきた和菓子の中でも特にお気に入りの和菓子、鹿児島梅月堂の「ぬれどら焼き」を紹介します。「ぬれどら焼き」を知ったのは、鹿児島に住んでいた8年前のこと。最近ではいろんなメディアでもよく見かける大人気の「ラムドラ」の誕生秘話を伺いにお店に取材にいき、その時出合ったのがこの「ぬれどら焼き」でした。
名前通りのしっとりとした皮生地。たっぷりと挟んであるのは粒が大きな小豆が丁寧に練り上げられたあんこ。今までのどら焼きの概念を覆す、衝撃的などら焼きでした。そんな衝撃的なぬれどら焼きが誕生したのはなんと70年ほど前のこと。
いくつかのお店と合同で開かれた菓子組合主催のお菓子の教室で習ったのが、このどら焼きの皮の元となるレシピでした。しかし、めんどくさい・手間がかかる・難しいなどの理由から、どのお店もやらなかったのだそうです。ただ、当時の梅月堂のご主人だけが、この皮を追求し、梅月堂のどら焼きが完成します。
一枚一枚職人さんが丁寧に焼き上げているこの皮。なんと職人殺しのどら焼きとも言われており、「自分には焼けない」と菓子職人を断念したり、自分には焼けないからと焼きやすいように配合を変えて大目玉を食らったりと壮絶なエピソードが残っているのだそうです……!
焼いてすぐの時はふわふわの状態の皮生地は、あんこを挟むことによって日に日に水分が移っていき、賞味期限が近づくとともにしっとり感が増していきます。また、皮生地には国産蜂蜜がたっぷりと使われており、この蜂蜜もしっとり感を生み出す重要な役目を果たしています。
北海道産大納言小豆のみを煮て作られるあんこは驚くほど大粒。濃厚な小豆の風味、小豆の食感をしっかりと堪能できる、あんこ好きにはたまらないあんこです。
あんこがしっかりと皮になじんだぬれどら焼きは濃いめのコーヒーと合わせるのがおすすめ。ぬれどら焼きとコーヒーを楽しむ時間は本当に幸せなひと時を過ごすことができます。
しっとり感がたまらないぬれどら焼き。旬の素材を使った季節限定商品もおすすめ。春は桜葉と桜花の風味を生かしたまるで桜餅のような「さくら」、夏はお茶どころである鹿児島の有機緑茶とフランス・ヴァローナ社のホワイトチョコレートを合わせた「白茶々」、秋には和栗を丸ごと1個使用した「和栗」など、それぞれの季節がやってくるのが楽しみになる季節商品ばかりです。ぜひこちらの季節商品も味わってみてくださいね。
- <今日のおやつ>
梅月堂 ぬれどら焼きプレミアム 3個・ケース入 972円(税込)
文:せせなおこ