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2022年を新たな気持ちで迎えたい。新年に贈りたい、食したい、和菓子特集8選

都野 雅子

早いもので今年も残すところあとわずか。一日一日と新しい年への期待が膨らんでいるのではないでしょうか。

新年のご挨拶、自分へのご褒美、親しい人へのプレゼント。「特別」なことがしたくなるこの時期、気持ちが伝わりやすいのは感謝や、縁起などストーリーが感じられる和菓子たち。

今回はお祝い事におススメの和菓子をご紹介します。

1.【石川・森八】今年で創業396年の老舗が伝える伝統の和菓子「千歳(ちとせ)」

めでたい紅白の和三盆がふりかけられた和菓子「千歳(ちとせ)」は、加賀藩の藩祖前田利家の時代にさかのぼる伝統のお菓子です。

古くは兵糧としてつくり始められたものが、森八家が菓子業をはじめて、次第にお祝いの席 にふさわしい形に変わっていったと言われています。

加賀藩は水もよく有数の米どころであり、豊かな食材が多いことから、森八の和菓子は能登産の 「宝達葛(ほうだつくず)」や「能登大納言小豆」など地元の名産品を使用。素材の生み出す豊かな 風味が楽しめます。
歴史を超え、390年という⻑きにわたって伝わるお菓子をいただく喜びは、お年始にもぴったりです。

2.【石川・うら田】何度でも起き上がる、伝統玩具の形を借りた「加賀八幡 起上もなか」

「加賀八幡 起上もなか」単品162円(税込) 7個入1,264円(税込) ※その他、10、15、20、30個入りもあります。

可愛らしい人形の包み紙も目をひく「加賀八幡 起上もなか」(おきあがりもなか)。金沢にある「加賀八幡起上り」という郷土玩具を模したお菓子です。

八幡宮の祭神の応神天皇が誕生の時に、真紅の真綿で包まれた姿だったことから、その姿を起き上がり人形にしたのが、「加賀八幡起上り」。

倒れても何度でも起き上がる、そんな縁起のいい「起上り」は、子どもの誕生やお祝い事に贈ることが風習として受け継がれています。

その縁起にあやかってつくられた「起上もなか」は、北海道産小豆を使用した小倉あんがたっぷりつまった歯触りの良さが楽しめます。新年の縁起を担いでいただきたいお菓子です。

3.【石川・古都美】6種類の日本酒のおいしさを食べ比べ!「金澤の宴」

「金澤の宴(日本酒ボンボンチョコレート)」 1,620円(税込) ※季節限定10月~5月の販売です。

石川県といえば、言わずと知れた日本酒の名産地。その中でも有名な蔵元「萬歳楽(まんざいらく)・加賀ノ月・常きげん」からそれぞれ人気の大吟醸、山廃仕込み、梅酒などの6銘柄のお酒をチョコレートの中に入れた日本酒のボンボンチョコレートにしてあります。

2021年3月にリキュール部門で銀賞を獲った萬歳楽の「白山 大吟醸古酒」と「加賀梅酒」、「酒類総合研究所主催 全国新酒鑑評会」で15回も金賞を受賞した加越酒造の「加賀ノ月 純米大吟醸 月光」と「山廃純吟 琥珀月」。いずれも霊峰白山の水からつくられたお酒です。また、「常きげん」の鹿野酒造は、名水として有名な「白水の井戸」を仕込み水に使用しています。どれも味わうのが楽しみになるボンボンチョコレートです。日本酒が苦手な人もおいしく食べられる工夫がしてあります。

いつもと違うプレゼントにいかがでしょうか。

4.【愛知・近江屋本舗】小気味よく新年に咲かせる花火のお菓子「岡崎花火」

「岡崎花火」1個178円

明治から続く愛知県の和菓子店「近江屋本舗」。手作業で丁寧につくるあんのおいしさが評判で、シンプルにあんを味わう「うすかわまんじゅう」は創業以来、100年以上続くベストセラー商品です。

その「近江屋本舗」のお菓子の1つ「岡崎花火」は、鉄砲伝来から火薬が伝わり、歴史的に深いかかわりのあるこの地ならではの花火大会「三河花火」にちなんで名づけられたお菓子。

花火玉をイメージしてつくられています。羊羹を中心に周りを羽二重餅で包んだ異なる食感が楽しめます。羊羹は小豆とうぐいす豆の2種類があります。

日本の美の1つ、花火を正月から楽しむのもまた乙なもの。包み紙の美しさもプレゼントに喜ばれます。

5.【京都・甘春堂】「豊国神社」「旧六条御所」の御用達も務める老舗がつくる歌会始のお題菓子「明けの窓辺」

明けの窓辺 半棹サイズ 1,080円(税込)

宮中に今も続く伝統行事の1つ、「歌会始(うたかいはじめ)」。その起源は万葉集にさかのぼります。毎年1月に行われる「歌会始」には、そのお題として漢字1字が発表されます。そして令和4(2022)年のお題は「窓」。窓は新しい風を取り入れるところなので、すがすがしい気持ちもしますね。

このお題に沿った和菓子をつくっているのが江戸時代から続く、京都にある老舗和菓子店「甘春堂(かんしゅんどう)」です。

2022年の歌会始のお題「窓」に合わせたお菓子の名前は「明けの窓辺」。鮮やかなコントラストが華やかな気持ちにさせてくれる羊羹です。丹波の大納言小豆をはじめ、厳選した材料でつくった羊羹は素材の味を感じさせるおいしさ。
「新しい時を喜び、幸多かれと思いを寄せて」つくったというお菓子。縁起担ぎとしてお遣い物にもおススメです。

6.【京都・豆政】京名物として親しまれている五彩色の「夷川五色豆」

夷川五色豆 木桝入230g 1,080円(税込)〜 ※その他大きさがたくさんあります。

京都で古くから収穫された良質の豆。その豆を使って風味豊かな豆菓子をつくっているのが明治17(1884)年創業の「豆政」です。

その当時、白色しかなかったえんどう豆の菓子に、宮中のお祝いの色である五彩色の砂糖を加えた「夷川五色豆(えびすがわごしきまめ)」は、縁起のいいお菓子として親しまれています。

昔と変わらない京名物の「夷川五色豆」の他、新しい「クリーム五色豆」もあり、こちらは落花生に柔らかいクリーム衣をまぶしています。風味は白がミルク、赤がイチゴ、黄色がバナナ、茶色がコーヒー、緑が抹茶と異なる味を楽しめます。

変わらぬ味と新しい味の食べ比べもおススメです。

7.【京都・紫野和久傳】美しい雪景色を想像させる「雪の灯」

「雪の灯」2,484円 ※販売期間:12月1日~2月下旬

京都・丹後に料理旅館として始まった「和久傳」(わくでん)は、厳選された旬の食材を活かした料理で知られ、和菓子も手がけます。

「雪の灯」(ゆきのあかり)は、美しい景色をイメージした羊羹。
上部の白は、雪を表現した山芋羹、雪の下には春を待つ新芽をイメージした抹茶と桑茶の水羊羹です。

2種類の羊羹の味の違いに加えて、幻想的で温かな雪あかりを梔子(くちなし)の羊羹と合わせ、まるで深くしんしんとつもる雪景色が浮かぶよう。

目で、舌で味わいたい日本の風景です。

8.【香川・三谷製糖羽根さぬき本舗】希少価値の讃岐和三盆糖で祝う「迎春」

「迎春」 1,188円 ※1月末までの期間限定商品です。

ほろりとしたくちどけと上品な甘味が魅力の和三盆。その伝統の味にこだわり、1804年の創業以来守り続けているのが「三谷製糖羽根さぬき本舗」です。

さとうきびの生産から始まり、さまざまな工程を経てつくられた和三盆は、希少価値の高いものとして人気があります。

この和三盆糖のみを押し固めた干菓子は、美しい色合いと季節に合わせた種類がいくつもありますが、お正月におススメなのが「迎春」。

お正月をイメージさせる羽子板や凧、コマに鶴と亀、松葉とどれも華やかな気持ちにさせてくれます。

いかがでしたでしょうか。ぜひ、新年に希望と期待を込めてお菓子を選んでみてくださいね。

文:都野雅子