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ポルトガルから伝来した南蛮菓子と日本古来の水飴が出合った。カワイイとエモいが同居するお取り寄せ飴菓子8選

oriori編集部

ポンと口に放りこむだけで手軽に甘味を楽しめる飴玉は老若男女に愛されるお菓子です。日本に昔からある飴は、お米のでんぷんや麦芽からつくられた、童話の一休さんに出てくる水飴のようなものでした。この頃の飴はお菓子というより、調味料としての甘味だったようです。その後、安土桃山時代になってポルトガルからもたらされた砂糖でつくられた南蛮菓子から生まれた金平糖や有平糖が、江戸時代には茶道に使われる飴細工の和菓子となって広まっていきました。

砂糖だけでつくられたものや、砂糖と水飴を混ぜてつくられたものなど、いろんな食感や風味の飴が登場してきました。伝統的な甘味でありながら、お菓子としての歴史は比較的浅い「飴」の世界をお楽しみください。

1.【北海道・澤の露本舗】琥珀色の水晶は、小樽で守り続ける一子相伝の懐かしの味「澤の露」

澤の露本舗は、小樽で明治44(1911)年に創業された老舗製菓店です。創業以来、商品は「澤の露」と呼ばれる黄金色の飴、一品のみ。当初は「水晶あめ玉」という名称でした。普通の飴には原料に水飴が使われますが、「澤の露」は砂糖のみでつくられているので、ねばつかず、甘すぎないのが特徴です。香料としてレモンオイルのみが使われています。それ以外には合成着色料や保存料も一切、使用されていません。
宝石のような透明度をもつ独特の琥珀色の外観は、材料である上白糖が焦げた色ですが、焦がし過ぎても足りなくても、この色にはなりません。銅鍋で炊き上げた上白糖を、ほんのり色づくタイミングで冷やし固め、切り分けて球状に整えて行きます。この見極めには長年の経験を要するといいます。ひと粒ひと粒手作りにこだわっていて、微妙に大小のある形状が見た目の持ち味になっています。
一子相伝の技でつくられる「澤の露」は小樽の懐かしい味として、日本全国のファンに支えられています。

2.【新潟・大杉屋惣兵衛】400年以上の伝統ある味を、変わらず今に伝える「粟飴」

創業1592年(!)の老舗飴菓子店「大杉屋惣兵衛(おおすぎやそうべえ)」。新潟県上越市の北国街道沿いに建つ本店で400年以上の長きにわたってつくられてきた水飴は、もち米と麦芽を使った自然の恵みに溢れた逸品です。「粟飴」と名付けられているのは、その昔はもち米ではなく、雑穀である粟を原料としてつくられていたから。琥珀色に透き通った水飴は高田城主の御用を命ぜられ、街道を行き交うや諸大名や旅人によって、越後追分の大あめやの名で江戸表まで伝わっていました。
その頃から変わらぬ、砂糖を使っていない自然の甘さは、健康食品として料理に使われるなど、今でも広く注目されています。また、この粟飴を原料に寒天を加えてつくられた翁飴や笹の葉に包まれた笹飴も越後名物として人々に愛されています。

3.【長野・山屋御飴所】「むかし板あめ」は、控えめな甘さが持ち味の飴菓子

城下町・松本市の中心部を流れる女鳥羽川の辺に店を構えるのは、今から350年前の寛文12(1672)年に創業された「山屋御飴所(やまやおんあめどころ)」。この店の人気商品が「板あめ」。飴といっても飴玉のように口に含むタイプの菓子ではなく、高温で煮詰めた米飴にピーナッツを混ぜ合わせたパリパリと香ばしいお煎餅のような食感が特徴の飴菓子です。もち米からつくられた米飴のやさしい甘さがどこか懐かしい風味です。
そして、「むかし板あめ」は、昭和中頃までつくられていたレシピを復活させた、炒り大豆入りの板あめです。「ピーナッツよりもコッチが好き!」という声もあるとか。信州産の炒り大豆の香ばしさに、米飴のやさしい甘さと香りがマッチして、絶妙の仕上がりに。ほうじ茶や玄米茶などの香ばしい系のお茶請けに最適な一品です。

4.【東京・榮太樓總本鋪】期間限定の新味「榮太樓飴 しそ飴」は今年10月までの販売

1818年、榮太樓總本鋪の前身である「井筒屋」が細田徳兵衛の手によって九段坂に開業しました。時代が下り徳兵衛のひ孫に当たる細田栄太郎が榮太樓總本鋪の看板商品となる「梅ぼ志飴」を考案します。梅ぼ志飴は、高純度の白ざら糖と少量の水飴を煮詰めてつくられた香ばしい有平糖(あるへいとう)です。梅ぼ志飴といっても別に酸っぱいわけではなく、その色、形が梅干しに似ているからと、洒落好きな江戸っ子が名付けたものです。
そして、2018年に日本記念日協会によって、栄太郎の誕生日である10月3日が「榮太樓飴の日」に認定されました。これにちなんで2021年の10月1日より1年間の期間限定で販売されているのが、江戸時代から続く製法を受け継いでつくられた「榮太樓飴 しそ飴」なのです。
榮太樓飴シリーズとしては、5年ぶりの新商品となり、有平糖のコクのある味わいに、しその爽やかな風味が合わさった、奥深い飴となっています。今年10月までの限定発売。味わってみたい方はお急ぎを。

5.【石川・飴の俵屋】砂糖ではなく、米と麦から作られたやさしい甘さの「おこしあめ」

創業天保元(1830)年の、金沢で一番古い飴屋。本店の店構えは、金沢市の保存建造物に指定されています。広い間口の店先に掲げられている、白地に大きく「俵屋 あめ」と書かれたのれんが印象的です。ここの名物はなんといっても「じろあめ」。昔ながらの製法で、米と麦芽からつくられた褐色の水飴です。その「じろあめ」をさらに煮詰めて固形状にしたのがこの「おこしあめ」です。大きな丸い板状になっているので、食べる時には金づちなどで小さく割って召し上がります。好みのサイズに砕いたら、口に入れましょう。砂糖とは異なる素朴な甘さが感じられます。この飴は、普通の飴よりも粘りが強いので噛んではいけません、歯にくっついてしまいますよ。注意してご賞味ください。

6.【京都・花ゆう】本物のおはじきと見紛う透明感。見た目も味も涼やかな「菓詩集おはじき飴」

昭和33(1958)年に京都の姉小路で創業されたのが京菓子製造卸店の「花ゆう(はなゆう)」です。花ゆうの生み出すかわいい飴菓子シリーズが「菓詩集」。色とりどりの金平糖や飴菓子の中にあって、ひときわ涼やかな姿を見せているのが「菓詩集おはじき飴」です。砂糖と水飴だけでつくられた飴菓子の透き通った見た目は、まるで本当のガラスでできているような佇まい。それでいて、口に含むと懐かしい甘味がやさしく広がっていきます。
手のひらに乗るサイズの小瓶に入って売られているので、自分へのご褒美やお友だちへのプチギフトにも最適です。

7.【京都・家傳京飴 祇園小石】創業当時からの人気商品。屋号を冠する「祇園小石」

数多い京菓子の中でも伝統のある「京飴」は、ポルトガルより伝わった有平糖の製法を受け継ぎながら、独自の発展を遂げ、砂糖の割合が多い、溶けにくくさっぱりとした飴をつくりだしてきました。今では「京飴」は地域ブランドとしての地位を確立しています。
京都四条通、八坂神社の石段下に本店がある「家傳京飴 祇園小石(かでんきょうあめ ぎおんこいし)」は、昭和11(1936)年に創業された甘味屋です。店名に京飴を冠する祇園小石は、直火の銅鍋でじっくりと炊き上げられた、艶と透明感のある仕上がりです。ささつゆ(べっこう)、黒飴、宇治抹茶飴、紅茶、ぶぶあられ、こがし飴の6種がひとまとめになっています。祇園の風情と、京都の四季が感じられる各種の味は、まさに百花繚乱、どの味を選んでも間違いありません。

8.【愛媛・別子飴本舗】ついついパッケージ買いしちゃう、レトロかわいい「別子飴」

愛媛県の工都、新居浜市にある「別子飴本舗(べっしあめほんぽ)」は、明治初年(1868)創業の菓子業者です。大正13(1924)年、四代目の時代に旧満州に渡って、現在の店の前身である「正ちゃん飴本舗」を設立し、乳菓を使った製品をつくり、関東軍に菓子や飴を納めるようになったと言います。
その後、昭和12(1937)年に帰国し、現在の地で菓子店「別子飴本舗」を再開しました。「別子」というのはこの地方にかつてあった著名な銅山、別子銅山から名付けられたものです。別子飴の原型は満州時代につくっていた乳菓製品であるといいます。現在の別子飴は精選された水飴と乳製品、上白糖を主原料にしているそうで、みかん、お茶、いちご、ココア、ピーナッツ入りミルクの5つの風味が付けられた飴は一粒づつオブラートに包まれ、味ごとに色分けされたカラフルでレトロな包装紙で丁寧にひねり包装がされています。
「瀬戸内海観光みやげ」として四国を代表する名産品のソフトキャンディー。口どけもよく、オススメの一品です。

文:oriori編集部