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お取り寄せ連載企画 おやつの時間 「第20回 丸屋本店 笹団子」

せせなおこ

こんにちは、和菓子コーディネーターのせせなおこです。この連載では、何げない毎日がちょっといい日になるような、そんなおやつを紹介します。

5月といえば端午の節句。旧暦では6月に当たるため、1ヶ月遅れの6月5日に行う地域も少なくありません。端午の節句といえば、一般的にはちまきや柏餅を食べますが、それ以外の和菓子を食べてお祝いする地域があります。

例えば鹿児島はあくまきという、竹の葉に包んだ餅米を灰汁で煮て、きなこにまぶして食べるお菓子。北海道ではべこもち、という白と茶色(黒糖味)の葉っぱの形をしたお餅を食べます。

そんな各地域の端午の節句を見ていた時に出てきたのが”新潟の笹だんご”。笹だんごの存在は知っていましたが、端午の節句に食べる風習があったのは初耳でびっくりしました。

笹だんごの“笹”には殺菌作用があり、戦国時代には保存食として食べられていた、という説もあります。また、あんこだけでなくひじきや煮物を入れるなど、軽食としても食べられています。

そんなわけで今回お取り寄せしたのは、丸屋本店の笹だんご。丸屋本店では2種類の笹だんごが販売されています。ひとつは、一般的にイメージする昔ながらの「伝承 笹だんご」です。

丸屋本店の笹団子は濃厚なよもぎとむぎゅっとしたこしのあるおだんご生地が特徴です。生地には新潟県産のよもぎをふんだんに使用し、さらに山ごぼうの葉(オヤマボクチ)も練り込んであります。そして、中には昔ながらの製法で北海道産小豆をじっくりと炊き上げた自家製の粒あんがはいっています。

もうひとつは創業130周年を記念しつくられた「童心 笹だんご」。巾着型に笹を巻き、食べやすさを考えてつくられました。

初めて見る笹だんごの形ですが、とってもかわいい! 伝承笹だんごは粒あんのみですが、童心笹だんごは白いひもの粒あん、赤いひものこしあんの2種類があります。

想像以上に緑が濃く、見ただけで濃厚なのがわかります!!

むぎゅっとコシの強いよもぎ餅の生地の中にはたっぷりの粒あん。力強い笹だんごにパワーをもらえます!

一方、こちらはこしあんの笹だんご。生地はコシが強く粒あんと変わりませんが、あんこがこしあんになっているだけで随分と印象が変わり、あっさりと食べられます。

私は端午の節句といえばかしわ餅でしたが、京都に行った時、中身が味噌あんのかしわ餅に出会って、あまりのおいしさに衝撃を受けました。今回の笹だんごをはじめ、一つの行事だけでこんなにもたくさんの食べ物があるなんて日本の文化はおもしろいなとつくづく感じます。

自分の中の当たり前を当たり前と思わずに、ぜひ周りの人と共有しあってみてください。きっといろんな文化を知るきっかけになるはずです。

文:せせなおこ