鎌倉

【中村屋羊羹店】江ノ島最古の和菓子店 伝統的な和菓子と店主のお客様への気持ちは季節ごとのメニューに現れる

モリアカリ

1.起伏の激しい江ノ島の道中で休憩したくなるお店

江ノ島と聞くと観光名所というイメージがありますが、その奥には弁財天(七福神の1人で弁天様とも呼ばれる)を祀る江島神社があり、お参りに訪れる人も多くいる場所です。

そして日本三大弁財天ともいわれている江ノ島神社の近くで創業100年を超える老舗といえば、江ノ島最古の和菓子店「中村屋羊羹店」です。

中村屋羊羹店_店舗
奥津の宮側から見た店舗

中村屋羊羹店は1902年に駄菓子屋を営んでいた三代目店主が、江ノ島の岩につく海苔を羊羹に入れたらどうかと考え作った「海苔羊羹」から始まった和菓子店です。

江ノ電の開通により、店は現在の場所に移動しました。江ノ島内にある江ノ島エスカーを使えば、お店のある頂上まですぐに行く事ができます。

中村屋羊羹店_店舗

中村屋羊羹店には食べ歩き用メニューと、腰を落ち着けて食べる事ができるメニューがあります。喫茶室は店舗正面、店舗左側にある抹茶セット注文のお客様専用スペースの2つです。

中村屋羊羹店_店舗

店舗正面には腰掛けるためのベンチも用意されており、食べ歩き用の和菓子を買った方が何組か腰掛けて食べていく姿が見かけられました。

中村屋羊羹店_店舗

中村屋羊羹店_店舗

その場で注文できるメニューは全部で10種類。1番人気の羊羹は棒付きで、手軽に食べられるような配慮もされています。

中村屋羊羹店_店舗

和菓子は店舗、またはお店のHP(中村屋羊羹店https://www.noriyoukan.com/)からも購入する事ができます。

2.江ノ島の海風を感じながら羊羹をいただく

中村屋羊羹店_店舗

和菓子と抹茶セットを頼んだ方が利用できる喫茶室の窓からは、江ノ島の岩場と広い海を見下ろす事ができます。この日は天気も良く、窓から差す光が眩しい程でした。本練り羊羹、海苔羊羹、そしてお抹茶をいただきました。

中村屋羊羹店_店舗

今回、中村屋羊羹店さんに行く前に、羊羹と海苔、甘いものと磯の香りが合うのかどうなのか、食べた時の味も想像がつきませんでした。実際にいただいてみると、口に入れた後、鼻に抜ける海苔の香りがとても印象的でした。

3.羊羹だけではない 4代目だからこそできる新メニューの数々

抹茶を新しくいただいた時に、現在の中村屋羊羹店の店主である中村憲昌さんとお話をする事ができました。「初代中村屋の店主は曽祖父に当たります。私で4代目、生まれも育ちも江ノ島で、家もこうばもすぐそこなんです」

製菓学校や他店での修行を経て中村屋の店主になったのは26歳の時、そこからずっとこの場所で和菓子を作り続けていらっしゃいます。

昔の製法を変えずに作り続けているものもあれば、新しく考えたメニューもたくさんあるそうで、イートインで食べる事ができる「くりぃむとうふ」もその1つ。

中村屋羊羹店_店舗

生クリームと豆乳を使った口どけの良いデザートです。くりぃむとうふに入っているあずきあんは、女夫饅頭の中に入っているあんこと同じものを使っており、デザートによってあんの甘さを調整されているそうです。

中村屋羊羹店_店舗

他にも、お正月限定の鶯餅、季節限定のくりぃむとうふ、桜わらび餅、江ノ島の塩を使った塩羊羹など、限定メニューが登場します。

これらは季節やイベントによって違う商品を出す事で「いつも通ってくださるお客様を楽しませたい、もてなしたい」という店主の粋な気持ちから生まれたメニューです。事前に通知なく始めるものも多いため、通っているお客様にしかわからない中村屋羊羹店の魅力ともいえるでしょう。

取材・文:モリアカリ