埼玉のお菓子として広く知れ渡る「十万石まんじゅう」。製造・販売している「十万石ふくさや」は、埼玉県と群馬県に38の直営店を構えています。
今回は十万石行田本店に伺い、おすすめのお菓子を紹介していただきました。
- 1.登録有形文化財に指定された店舗、十万石行田本店
- 2.埼玉銘菓として親しまれる「十万石まんじゅう」
- 3.十万石まんじゅうのコラボ商品にも注目
- 4.アーモンドの香ばしさが伝わる「はにわさぶれ」
- 5.埼玉県政150周年を記念した「彩の風」
1.登録有形文化財に指定された店舗、十万石行田本店
行田市の中心部、秩父鉄道行田市駅から徒歩10分。県道128号線沿いに建つ十万石本店は、江戸様式の蔵づくりが印象的です。
明治16(1883)年に呉服屋として棟上げされ、戦後は足袋蔵、昭和45(1970)年から十万石ふくさやの店舗となりました。
重厚な観音開きの扉や屋根には大ぶりの鬼瓦をのせるなど、風格あふれる建物で国の登録有形文化財に指定されています。
しっとり落ち着いた店内では、十万石まんじゅうをはじめ、カステラ、どら焼き、焼き菓子、生ケーキなど、さまざまな和洋菓子を販売しています。
特に生ケーキは、限られた十万石店舗でしか販売しておらず、お土産やおもたせ選びが楽しくなるラインナップです。
訪れた日は卒業式や職場の異動時期とあって、詰め合わせのプチギフトを販売していました。相手への気持ちにお菓子を添えて贈ることができます。
2.埼玉銘菓として親しまれる「十万石まんじゅう」
十万石まんじゅう 1個129円(税込)
「十万石まんじゅう」は、現在の行田市にあたる忍藩(おしはん)の石高10万石にちなんで名付けられたおまんじゅう。今や行田だけにとどまらず、埼玉銘菓として親しまれています。
十万石まんじゅう 1個129円(税込)
テレビ埼玉開局当初から放送されているCM「風が語りかけます。うまい、うますぎる、十万石まんじゅう」は、埼玉県民にはおなじみのナレーション。
この「うまい、うますぎる」のキャッチフレーズは、世界的に有名な板画家で、「十万石幔頭」の題字や絵を手がけた、棟方志功氏との会話が由来しています。「うまい、(行田名物にしておくには)うますぎる、十万石まんじゅう」と気に入り、一気に6個も口に運んだそうですよ。
ちなみにこの「幔」の字、正しくは「饅」なのですが、志功先生は「このまんじゅうが全国に広く知れわたる事を願ってこの字にした」と答えたといいます。
そんな、棟方氏も認めた十万石まんじゅうの皮には新潟県産コシヒカリの粉を使った上新粉と毎朝すりおろしているつくね芋を使用。
あんには、北海道十勝産小豆と高純度白ザラメ糖を使ったこしあんを使用するなど、厳選したこだわりの素材で作られています。保存料・添加物不使用のため、賞味期限は5〜6日です。
手に取ると、まっ白な皮には、鮮明な十万石の焼印。ほのかに芋の素朴な香りが漂い、食欲をそそります。
中にはしっとりなめらかなこしあんが詰まっていて、温かい緑茶と一緒に食べるのもおすすめ。きちんとした贈答用からちょっとした手みやげまで、幅広く利用できるおまんじゅうです。
3.十万石まんじゅうのコラボ商品にも注目
十万石まんじゅうは、これまで浦和レッズや西武ライオンズ、映画『翔んで埼玉』、テレビドラマ『陸王』、スマートフォン向けゲーム『ドラゴンクエストウォーク』等、多数のコラボ商品を販売しています(販売終了の商品もあります)。
2021年に販売された「十万ゴールドまんじゅう(販売終了)」。
コラボ商品専用に描きおろされた特注パッケージやオリジナルの焼き印は、販売と同時に注目されるなど、ユーモアあるデザインに心躍ります。
最近では、川越市市制施行100周年記念十万石まんじゅうや熊谷市に校舎を置く、立正大学入学式記念品十万石まんじゅうもできるなど、行田の枠を越えた活躍を見せています。次はどんなコラボ商品が誕生するのか、今から楽しみですね。
4.アーモンドの香ばしさが伝わる「はにわさぶれ」
十万石まんじゅうに次ぐ人気商品がはにわさぶれです。
行田市周辺は、9基の大型古墳からなる「さきたま古墳群」や大小の古墳が点在し、土器や埴輪も出土した地域。
はにわさぶれは行田市の隣、熊谷市江南地区で出土した「踊る埴輪」をモデルにしたサブレです。
はにわさぶれ 1枚97円(税込)
お皿に出すと、左手を挙げたポーズと何ともいえないおどけた表情に、自然と笑みがこぼれ、心が和みます。
ザクッとした軽快な食感と、生地に練り込まれたアーモンドの香ばしさが口いっぱいに広がり、つい「もう1つ」と手が伸びてしまうおいしさ。風味豊かな味わいで子どもから年配の方まで、幅広い世代に人気のお菓子です。
焼き菓子なので日持ちが長く、遠方への贈り物にも好まれます。
5.埼玉県政150周年を記念した「彩の風」
「彩の風(さいのかぜ)」は、2021年に150周年を迎えた埼玉県を記念して発売されたブッセ。
県民一人一人の個性がカラフルな彩りの風となって、埼玉県の魅力を作り、埼玉県のすばらしさが更なる未来へ続くようにと、前向きな願いが込められています。
彩の風 1個162円(税込)
生地には埼玉県産小麦「あやひかり」を使用。ふんわり、ほどける口当たりのブッセになめらかなチーズクリームを挟み、リッチでコクのある味わいが堪能できます。1個が大きくボリュームがあり、満足感が得られるのもうれしいところ。
春は限定で桜あんクリームを販売。味に変化を付け、季節の訪れを感じさせてくれます。
他にも、行田市の忍城(おしじょう)をかたどった「忍城サブレ」や季節限定の味が楽しめる「きらら」などもおすすめです。
埼玉のお土産や行田散策の際には、十万石ふくさやのお菓子をぜひ手にとってみてくださいね。
取材・文:中村仁菜