1.上生菓子、どら焼き、ようかん…季節の和菓子をつくる
横浜・元町。ここに時代に合せた和菓子店 香炉庵があります。
2004年に開店した本店は2階に茶寮もあり、和菓子や和スイーツ、おこわなどのお食事も楽しめます。この茶寮で開催されているのが和菓子教室。リピーターが多いという人気の教室を体験してきました。
香炉庵では、季節ごとに和菓子教室を開いているそう。
どんな和菓子が作れるかというと…。「どら焼きと上生菓子 3種」、「和菓子(練切り)3種と栗きんとん」、「和菓子(練切り)3種と水ようかん」など季節を先取りしている和菓子+α、自宅でも作ることができる菓子や赤飯などを教室で教えてもらうことができます。
今回、参加したのは「お赤飯と上生菓子3種」のコース。明るい茶寮は黒と落ち着いた赤を基調としたクラシカルな雰囲気。大きなテーブルに参加者それぞれがつくる上生菓子3種類が用意されていました。
2.地域によって違うお赤飯のいろいろ。お手製の胡麻塩も
和菓子教室は2時間。蒸し時間もあるため、先にお赤飯の作り方を教わることに。お赤飯は香炉庵の2人の和菓子職人さんが実演してくれます。参加した人達の手には本日のレシピと材料が書かれた資料があります。
小気味よく楽しい会話と説明が場を和やかに包み、質問もしやすいのが嬉しいところ。
香炉庵でつくるお赤飯はささげを使いますが、地域によって、大納言あずきだったり、落花生だったり、また甘納豆だったりすることも。関西の方では、秋に栗を合わせた赤飯もあるとのこと。
関東ではささげを使うことが多く、その理由はささげが割れにくいからで「武士の世に切腹を連想させる小豆を避けたから」とも言われています。人それぞれ慣れ親しんだお赤飯があるのって素敵ですね。
「和菓子やさんでお赤飯を作られているのはなぜですか?」と質問すると、「和菓子屋は神社やお寺のそばにあることが多く、お祝い事も多かったから作ようになったのではないか」とのことでした。
言われてみればその通りで、しかももち米も小豆も和菓子屋にはあるわけですから、自然とそうなったのかもしれません。また、香炉庵で使うもち米は羽二重もち米。その白さや柔らかさがが大きな特徴です。ささげから出た渋皮が綺麗に染まっていきます。
面白かったのがお赤飯のお供の胡麻塩。黒胡麻をから煎りして香りを立ててから、食塩水を合わせて水分がなくなるまで煎っていきます。つくりたての胡麻塩の香ばしいこと!綺麗に胡麻に塩がコーティングされていて、胡麻の風味が強く塩気はまろやか。
そのおいしさに驚いていると、この水分と食材を合わせて煎るやり方は「有名な卵と海苔ふりかけにも使われている」とのこと!機会があったらぜひ原材料名をみてくださいね。なんとこしあんが入っていますよ。 そんな豆知識を聞きながら、楽しくあっという間に時間が経っていきます。
3.手のひらに伝わるしっとりした質感。五感に感じる楽しさ
お赤飯を蒸している間にいよいよ。上生菓子作りへ。今日の菓子はふきのとう・花見・春の野。 ひとつずつ丁寧に作り方を教わります。主な作業は手のひらでくるくる、丸めること。ふきのとうには抹茶餡、花見には桜餡、また練りきりの材料も全て優しく力を加減しながらくるくると。
しっとりした感触の餡や練り切りは、懐かしいこども時代にも戻ったような感覚です。それをつぶして、餡を包んだり、こしたりして1つの菓子にしていきます。また、和菓子ならではの道具を使って形にしていくのも楽しい!
できあがったお菓子は、お店で販売されているようなケースに入れて持ち帰れるのもちょっと嬉しいポイント。「このお菓子、誰が作ったと思う?」なんて会話が生まれそうです。1人ずつ少し違うお手製の上生菓子を見てにっこり。
上生菓子が揃う頃、蒸し立てのお赤飯のおむすびが配られ、作ったお持ち帰りの菓子と抹茶を頂きながら、全員で味わいました。
滑らかな舌触り。品のよい甘さの練り切りに包まれた餡のおいしさ。舌に残る甘さを抹茶で流す、お茶と和菓子はなくてはならないものですね。お赤飯は米粒が立ち、塩味がもち米の甘さを引き立てて、噛むほどに旨みが広がります。
自分で包んだ練りきりやお赤飯のおいしいこと!この感動をおすそ分けしたくて、さっそく週末に家でお赤飯を蒸したのは私だけでしょうか?
香炉庵では横浜・元町発の企業として進化することを目指しています。それは「和菓子もこの街も大切だから」。和菓子教室で和菓子の素晴らしさを伝えるのもその1つなのでしょう。
和菓子が今まで以上に身近に感じる時間。一度、和菓子を作ってみませんか。
香炉庵の和菓子教室のスケジュール、料金など詳細は公式ホームページをご確認ください。香炉庵「和菓子教室」の情報はコチラ。
取材・文:都野雅子