今年も立冬を迎え、木枯らしと共に本格的な寒さがやってきました。古くから12月13日は正月事始めといって、煤払いをしたり、大掃除を始めたりと歳神様を迎える準備を始める時期とされています。そういえば、お歳暮もこの日から贈り始めるのがよいとされています。
というわけで、お歳暮やお年賀、帰省時の手みやげに最適な東京生まれの和菓子15選を紹介していきましょう。
- 1.奥深き、かりんとうの世界を詰め合わせて【日本橋錦豊琳】
- 2.変わる想いと変わらぬ真心を贈りましょう。元祖・くず餅の【船橋屋】
- 3.東京発祥の庶民派和菓子、焼きたてのたい焼きを手みやげに【神田達磨】
- 4.銀座・コリドー街発、「豆大福の店」がキャッチフレーズの【銀座甘楽】
- 5.大切な人を笑顔に! 贈る人のセンスが光る「おかき」【赤坂柿山】
- 6.おかき専門店がつくる名物の「揚げまんじゅう」。【御門屋 本店】
- 7.カジュアルな「おかきマカロン」! おかきとあられの店【三軒茶屋 大黒屋】
- 8.時間とともに変化する味と食感が楽しめる「カステラ」【黒船】
- 9.お年賀に最適の言祝ぐネーミングのお菓子“富貴寄”【銀座菊廼舎】
- 10.和菓子屋がつくった、甘さと塩気が絶妙な「あんクロワッサン」【&Co.(アンドコ)】
- 11.伝統を受け継ぎつつ新しいスタイルを提案する煎餅店【MATSUZAKI SHOTEN】
- 12.ゴージャスな「丹波栗の慶希」で、ひと味違うお年賀を【慶希処みおや】
- 13.新橋で70年以上の歴史を持つ和菓子店の上質な「最中」【文銭堂本舗】
- 14.酸っぱくない「ウメボシ」って? 「は~い、えいたろうです」【榮太樓總本鋪】
- 15.年末といえばの忠臣蔵にちなんだ「切腹最中」【御菓子司 新正堂】
1.奥深き、かりんとうの世界を詰め合わせて【日本橋錦豊琳】
まず最初に取り上げるのは、庶民的なお菓子の代表格、かりんとう。東京の日本橋・小伝馬町に本店を構える「日本橋錦豊琳」は、遊び心とアイデアが光る多彩なかりんとうを生み出している、かりんとう専門店です。店頭に並んでいるのは、「きんぴらごぼう」「野菜」「ゆずこしょう」といったしょっぱい味の商品から、「黒糖」「むらさきいも」など、ほんのりと甘い商品まで、どの商品も日本の伝統的な素材や味わいを生かしているものの、「こんな味のかりんとう見たことない!」と意外性のある商品ばかり。レギュラー商品に加え、月ごとに入れ替わる限定商品にも大注目です。
特筆すべきは素材に合わせて生地の作りを変えて、それぞれの味に合う食感を生み出していること。商品ごとに太さや揚げ方を変えるなど、細やかな工夫がなされているのです。種類の豊富さはもちろん、一つ一つの味わいや食感の奥深さに驚かされます。
新感覚のかりんとうは、手みやげとして求める人もたくさん。用途に合わせて、さまざまなギフトパッケージ用意されているのも嬉しいですね。
2.変わる想いと変わらぬ真心を贈りましょう。元祖・くず餅の【船橋屋】
亀戸天神前に本店を構える、創業1805年の老舗くず餅店といえば「船橋屋」。450日間にわたって熟成発酵させた小麦のでんぷん質をじっくりと蒸し上げて作られる関東風のくず餅は、冬でもおいしくいただけます。暖房の効いた部屋で、ひんやり冷やしたくず餅に秘伝の黒糖蜜と粗びきのきな粉をたっぷりと掛けていただくのがオススメです。
おみやげとしても喜ばれているくず餅ですが、賞味期限が2日ととても短いので、オンラインショップから直接贈るのも良案かもしれません。サイズも小~特大に加えて、お一人様用が用意されていることもうれしい心遣い。そのままパクパクと食べやすいカップに入っているのがポイントです。
くず餅には「くず餅乳酸菌」なる独自の乳酸菌が含まれていることもわかり、近年では健康食品としても注目を集めています。時代に合わせた商品をつくりながらも、変わらぬ老舗の味を守っているのも船橋屋の魅力なのかもしれません。
3.東京発祥の庶民派和菓子、焼きたてのたい焼きを手みやげに【神田達磨】
東京にたい焼きが登場したのは明治時代の終わり頃。今川焼のレシピや具材はそのままに、形だけ縁起のいい鯛の形にリニューアルされたのが発祥です。ところがこれが大ヒット。今や全国区の和菓子となりました。神田小川町に本店を持つたい焼き屋「神田達磨」は2007年の創業。パリッとした食感がたまらない、名物「羽根付きたい焼き」は「カリッ」とした羽根の部分と、あんを包んだ皮のしっとりとした食感……そして熱々の粒あんが、もう絶妙!
焼きたてを食べるのが一番おいしいたい焼きは、近場の手みやげにするのがオススメですが、持ち帰って冷めてしまったら、レンジで温めた後で、トースターで軽く炙って食べると、皮がパリッとしていいそうです。
材料の小麦粉は国産、小豆は十勝産の高品質な小豆を仕入れています。また、何より皮の厚さとあんこの相性の良さを研究し、その量や甘さまでも計算され尽くしています。焼きたての羽根付きたい焼きを求めて、ぜひお店へいらしてください♪
4.銀座・コリドー街発、「豆大福の店」がキャッチフレーズの【銀座甘楽】
JR有楽町駅と新橋駅の間の高架下にあるコリドー街の一角にある和菓子店「銀座甘楽」。2005年にオープンしたこのお店の看板メニューが「豆大福」です。シンプルながらも丹精込めて作られた豆大福はリピーターが続出中。
ごろごろと存在感があるのは、北海道産の赤えんどう豆。たっぷりと入っているのに甘さ控えめな粒あん。そして、しっとりもちもちしたお餅。この3つの味と食感のバランスが絶妙なのです!
あんことお餅にこだわった、大福の賞味期限はなんと当日中。お餅のしっとりもちもちした食感を楽しめるのは作ったその日だけなのです。ちょっとした訪問のおもたせにはうってつけの贈答品です。
5.大切な人を笑顔に! 贈る人のセンスが光る「おかき」【赤坂柿山】
「お米の香りとうま味を感じてもらえるおかき」を目指している「赤坂柿山」の工場は富山県にあり、富山県の特産である新大正もち米と、お米を育てたお水で、こだわりのおかきが作られています。木製のせいろで蒸しあげ、お米の繊維を壊さずに杵つきをしたお餅からつくられるおかきは、さっくりした食感に。職人の手でじっくりとキツネ色に焼きあげられ、秘伝のタレで味付けされます。
贈り物としてよく選ばれているのが定番商品の詰め合わせ、「柿山セレクト」。薄焼きおかき「慶長」、アーモンドの入ったおかき「慶凰」、もち米本来の風味が楽しめる「かきもち」が入った人気の組み合わせです。黒地に金と銀の上品なパッケージも高級感があり、1,500円から1万円までの広い価格帯も選びやすいですね。
それ以外にも、さまざまな商品が揃っています。お米の国、日本の米菓をお楽しみください。
6.おかき専門店がつくる名物の「揚げまんじゅう」。【御門屋 本店】
揚げまんじゅうで知られる「御門屋」は、おかきの製造卸として、目黒通りの油面地蔵通り商店街に1952年(昭和27)創業。
揚げまんじゅうは、薄皮の生地、なめらかで風味豊かなこしあん、油で揚げた香ばしい風味が三位一体となった美味しさが魅力のお菓子。揚げているのにくどくないので、ついもう1個……と、あとひく味わいです。こしあんに使う小豆は、提携農家から仕入れる北海道産の「朱鞠(しゅまり)」という希少品種。やや粒が小さく、薄紫のきれいな色と豊かな香りが特徴で、「御門屋」では3回こす手間をかけ、なめらかな口どけに仕上げています。
一番人気は「こし餡」。ほかに「胡麻」と「季節のあん」の3種類があり、1個130円(税込)。いずれも常温で1週間日持ちするので、東京みやげとしても重宝されています。
一方で、創業以来の看板商品である「おかき」も隠れた名品。宮城県産の最高級餅米「みやこがね」を使っており、食べるともち米の香りが口いっぱいに広がります。
贈答には両者の詰め合わせがオススメです。
7.カジュアルな「おかきマカロン」! おかきとあられの店【三軒茶屋 大黒屋】
三軒茶屋で、あられやおかきの専門店として創業百年を越える老舗「大黒屋」が作るのが、意外とモダンな「おかきマカロン」。シンプルな塩味のおかきをマカロンの皮に見立てて、間にクリームを挟んだお菓子です。
味は全部で7種類。あんこにパンプキン、チーズ、黒豆きなこ、抹茶、いちご、そして胡麻。それぞれ味のしっかりとした濃厚なクリームが、塩味のあっさりとしたおかきとよく合います。全て違う味なのでついつい手が出て、あっという間に食べてしまいそう。一口サイズのマカロンは見た目もコロンとしていて、可愛らしい&珍しさからおみやげやギフトにも人気です。
八丈島をルーツに持つ大黒屋では、八丈島特産の材料と合わせたオリジナルせんべい「浅沼煎餅」も好評で、2018年に世田谷みやげ指定審査会からも認定されています。
8.時間とともに変化する味と食感が楽しめる「カステラ」【黒船】
東急東横線・大井町線の自由が丘駅中央口から歩いて5分。緑豊かな森に囲まれた自由が丘のパワースポット熊野神社のすぐ近くに「黒船」はあります。
黒船の看板商品ともいえる「黒船カステラ」。通常のカステラは小麦粉・卵・砂糖で作られていますが、黒船のカステラは牛乳と、牛乳から作られたクリームも使用。
ずっしりとしたイメージのあるカステラですが、黒船カステラは”ふんわり”と軽い食感となっています。特筆すべきは、ふんわりカステラが、2日目・3日目と時間とともにしっとりと変化すること。「今日はどんな風になっているのかしら?」と、毎日ドキドキできるカステラなんです。唯一の難点は、おいしすぎて残しておくのが辛いということでしょうか……。
高級感のある手提げバッグやパッケージも素敵! 手みやげでお贈りすれば、喜ばれること間違いなしです。
9.お年賀に最適の言祝ぐネーミングのお菓子“富貴寄”【銀座菊廼舎】
歌舞伎せんべいから始まり、江戸和菓子の看板を掲げてからなんと130年の「銀座菊廼舎-きくのや」。大正時代に誕生した看板商品の「冨貴寄」は、当時の郷土菓子を集めて、一度にいろいろな味を楽しめるようにと開発したものです。小麦、砂糖、卵のみで作るシンプルなクッキーをはじめ、店名をかたどった落雁(らくがん)、三盆糖で打った宝づくしや季節の打ち物、ハッカ糖、金平糖、黒豆などさまざまなお菓子が入っていて、食べ進めるのが楽しくなります。お菓子には天然色素のみを使用し、決められた配置に沿って一缶ずつ職人が手作業で詰めているといいます。
いろいろなモチーフが詰まった冨貴寄は、多彩なパッケージも人気の要因。日本から海外へ行くときのおみやげとしても好評だとか。
10.和菓子屋がつくった、甘さと塩気が絶妙な「あんクロワッサン」【&Co.(アンドコ)】
明治33(1900)年創業、兵庫の老舗和菓子店「末廣堂(すえひろどう)」が手がける新スイーツブランド「&Co.(アンドコ)」。「クリエイティブに、あんこを楽しむ」がコンセプトのこちらのブランドでは、小豆のおいしさをダイレクトに堪能できる店頭限定メニューが人気。
末廣堂自慢のあんことクロワッサンを合わせた新感覚のスイーツ「あんクロワッサン」は、片手で食べられる手軽さで、和洋が融合した味わいはコーヒーにもマッチしています。発酵バターをたっぷりと使った特注のクロワッサンは、香り高くパリパリとした食感で、塩気はあんこと相性抜群です。手頃なサイズ感でおやつや軽食にもぴったりです。朝、コーヒーとセットで買っていく会社員の方も多いといいます。
和モダンでおしゃれなパッケージデザインは手みやげとしても秀逸ですが、風味を楽しむためには、当日中に召し上がるのが一番とか。
11.伝統を受け継ぎつつ新しいスタイルを提案する煎餅店【MATSUZAKI SHOTEN】
文化元(1804)年創業の「MATSUZAKI SHOTEN」。藤色ののれんが目につくお店は、東銀座駅3番出口を出て30秒、目の前は歌舞伎座です。
昔ながらの厚焼きがうれしい「江戸草加 本丸」は、1枚に茶碗1杯分のうるち米が使われているので、食べ応えがあります。一枚一枚丁寧に焼き上げている堅焼き煎餅は、香ばしいおしょうゆ味の中に、お米の甘味がしっかり感じられます。「これを探していたのよ」と根強いファンの多いお煎餅は、おしょうゆ以外に海苔やざらめ、ごま、からしなど、味の種類も豊富です。薄焼きの「江戸草加 西の丸」も人気です。
日本茶とお煎餅、しみじみおいしいと感じる組み合わせでお楽しみください。
12.ゴージャスな「丹波栗の慶希」で、ひと味違うお年賀を【慶希処みおや】
東京は飯田橋、東京大神宮そばの裏路地に店を構える「慶希処みおや」。2023年7月に「慶希処 AMATERRACE」からブランド名を変更しました。
『和』のパウンドケーキ」をコンセプトにしたお店で、ケーキの生地に「黄金蜜芋」とも呼ばれる種子島産の安納芋をたっぷりと使用しています。焼き芋のようなねっとり、しっとり感があって、普通のパウンドケーキとは全く別物です。
中でも最高級の丹波栗をぜいたくに飾り付け、メープルシロップに漬け込んだ和栗にブルーベリーを合わせた豪華な一品が「丹波栗の慶希」。見た目もさることながら、蜜芋の生地でまとめ上げられたお味も絶品です。添加物をほとんど使っていないため、賞味期限が7日間と短いので注意が必要ですが、特別な日に選ばれるにふさわしい、納得の一品です。
13.新橋で70年以上の歴史を持つ和菓子店の上質な「最中」【文銭堂本舗】
昭和23(1948)年創業。新橋三丁目交番の並びに店を構える文銭堂本舗は、70年以上同じ場所で和菓子の製造販売を行っています。
創業当時から作られているのが「文銭最中(ぶんせんもなか)」。江戸時代にお守り代わりとして、広く庶民に親しまれていた通貨「寛永通宝」を模した最中で、店名にもなっている看板商品です。
小ぶりな最中に見えますが、中にはぎっしりとあんこが詰まっているので、意外と食べ応えがあります。丁寧に皮をむいた「小豆」でつくられたこしあん。若干薄めの色合いで、上品な甘さと、なめらかな口当たりとなっています。更科そばをイメージしたあんと言えば伝わるでしょうか? さらに、3日間蜜につけた鹿の子豆が入っていることで、なめらかなあんの中に小豆の食感も楽しめます。白あんと栗のねっとりやわらかなあんの中に刻み栗が入った「栗」も、味と食感のハーモニーがたまりません。
どなたに贈っても、きっと喜ばれることでしょう。
14.酸っぱくない「ウメボシ」って? 「は~い、えいたろうです」【榮太樓總本鋪】
日本有数の問屋街、日本橋。有名な麒麟の像からすぐの場所にあるのが創業1818年の「榮太樓總本鋪(えいたろうそうほんぽ)日本橋本店」です。
有名なのが、その昔、列車販売でも売られていた「梅ぼ志飴」。梅干しといっても梅の味がするわけではなく、その形が梅干しに似ていたため付けられたのだそう。それも名付けたのは店の人間ではなく、市井の人。
「梅ぼ志飴」の赤い色は紅花。食用に使われている高価な材料で、榮太樓では材料にこだわった飴づくりを続けています。高品質な砂糖を使った飴は、ほんのり照りが唇に移れば、艶やかになると明治時代には評判になり、上方の芸者さんや舞妓さんが紅をさす前に唇に塗ったと言われています。そのため、東京のお土産として喜ばれたそう。
創業から200年あまり。江戸の人たちにもかわいがられた榮太樓の飴を、おみやげにどうぞ。
15.年末といえばの忠臣蔵にちなんだ「切腹最中」【御菓子司 新正堂】
サラリーマンのお詫びの品としても話題を集め、1日7,000個も売れる大ヒット商品となっている「切腹最中」。年末年始の手みやげとしてはどうかな? と思ったのですが、おいしいのでよしとしましょう。年末には討ち入りもありますし。
以前、新正堂のあった場所が、浅野内匠頭が切腹したという田村右京太夫の屋敷跡であったことから、切腹最中が誕生したそうです。香ばしく、サクッと歯ざわりのよい最中種に、ツヤのある粒あんがぎっしり。中心にはやわらかな求肥が入っているので、1個ぺろりと食べられてしまいます。食べると小豆の風味がとても濃厚なことに感動するのですが、なんと小豆を浸水せず、熱湯から炊くというから驚きです。合わせる砂糖も、上白糖、グラニュー糖、鬼ザラ糖、と時代に合わせて変えており、キレのあるさっぱりとした甘さが特徴です。
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文:oriori編集部