銀座・日本橋・月島

気候も良く、散策にうってつけの一日。 銀座・日本橋界隈の和菓子店15選はいかが?

oriori編集部

東京湾にあった江戸前島と呼ばれる半島の砂洲上につくられた街、銀座。江戸城の外郭として整備され、職人や商売人が住むいわゆる下町でありながら日本有数の繁華街、日本を代表する高級商業地として発展してきた街は、新陳代謝を繰り返しながら今も魅力たっぷりに多くの人を集めています。そして、この街の周辺には老舗から新興店まで数多くの和菓子屋がのれんを掲げています。そこで、今までorioriで紹介してきたお店の中から、銀座・日本橋周辺のお店をまとめてみました。

1.【宗家 源 吉兆庵】“ギンザ ハレフルーツ”をコンセプトに果実の魅力を堪能できるカフェ

1946年に岡山県で創業した「源 吉兆庵(みなもと きっちょうあん)」は、2019年10月にGINZA SIXの向かいの銀座中央通りに銀座本店をオープンさせました。

フルーツ王国といわれる岡山県で創業した同店の人気商品は、果実を丸ごと使った「自然シリーズ」。岡山県産のマスカット・オブ・アレキサンドリアやピオーネを、砂糖をまぶした薄い求肥で皮ごとくるんだ「陸乃宝珠」は、口に入れるとしゃりっとした砂糖の口どけとともに、みずみずしい果汁がはじけます。5月~9月頃までの季節限定商品ですが、同店を代表する看板商品となっています。
銀座本店に併設されているカフェ「K.MINAMOTO」には、 “ギンザ ハレフルーツ”をコンセプトに、フルーツがたっぷり使われた、ここでしか食べることができないメニューが並んでいます。和紙を使った店内は、ゆったりと落ち着いた雰囲気で隠れ家感もあり、銀座の待ち合わせに最適です。

2.【塩瀬総本家】660年の伝統を受け継ぐ「塩瀬」の味と技が詰まったおまんじゅう

銀座からほど近い佃大橋の袂、聖路加国際病院の近くに店を構えているのは、今から660年ほど前に奈良で創業された「塩瀬総本家」。日本三大まんじゅうのひとつといわれる「志ほせ饅頭」は、こちらの商品です。奈良、京都、江戸と居所を変えつつ、長年にわたってまんじゅうづくりを受け継いできました。

塩瀬総本家でつくられるおまんじゅうには「四季饅頭」と呼ばれるものがあり、季節ごとにその意匠が変わります。夏は金魚と水を表した焼き印が押されたおまんじゅう。中身は9個入り。まるで小さな水槽を眺めているような、とても涼しげな気分になります! これが秋(9月中旬)にはウサギと月のモチーフになります。
お饅頭に端を発した塩瀬総本家ですが、現在は羊羹、最中、フィナンシェなど季節限定の詰め合わせ洋和菓子も数多くつくっています。ちょっと秋風に吹かれて、築地方面に足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

3.【文明堂】銀ブラ途中の三時のおやつにぴったりのスイーツ

1900(明治33)年に長崎で創業した「文明堂」。関東では「カステラ一番、電話は二番、三時のおやつは文明堂〜♪」のCMソングで覚えている方も多いのではないでしょうか。

銀座5丁目のイグジットメルサの1Fにあるお店で買えるのが、「3時のおやつあんぱん」。CMでおなじみのカンカンベアの焼き印が押された手のひらサイズのあんぱんです。もともとは埼玉県にある工場併設の大型店舗「文明堂さいたまあおぞら工房」のみで買える商品でしたが、賞味期限の長い「お日持ちタイプ」が数量限定で購入可能です。銀ブラのお土産にいかがでしょうか。
併設されている大きなガラス張りのBUNMEIDO CAFEではカステラやパンケーキといった定番のスイーツ以外にも、パスタやサラダ、各種のドリンク等も楽しめます。ショッピングに疲れたら、街を行き交う人を眺めながらゆったりとした時間を過ごすのもいいかもしれません。

4.【SALON GINZA SABOU】スタイリッシュ空間でいただく和洋ハイブリッドのパフェ

1958年創業のアパレル&ライフクリエーションカンパニーの株式会社ジュンが手掛ける甘味・お食事処「SALON GINZA SABOU」。2016年にリニューアルされた銀座5丁目の東急プラザ銀座の地下では、インテリア雑貨やファション、食材などを扱っているスペースの奥にカフェが併設されています。

ここでいただける和スイーツが、看板メニューの「茶房パフェ」です。日本庭園をイメージした、枡に入った美しいビジュアルはSNSでも話題になり、このパフェを目指して多くの方が訪れる人気のメニューになっています。抹茶香る濃厚なマスカルポーネチーズと粒あんに、栗の渋皮煮、白玉など、一口ごとに嬉しいおいしさ。
また、季節ごとに登場する限定メニューも人気です。春には苺、夏は桃と季節限定の一味違う茶房パフェを堪能することができます。
銀座の落ち着いた雰囲気の中で、楽しいおいしさを味わってみてください。

5.【銀座菊廼舎】和菓子ギフトに最適なビジュアル。ロングセラーも納得の「冨貴寄」

「銀座菊廼舎(きくのや)」は、明治23(1890)年、現在の歌舞伎座前で歌舞伎せんべいを販売したところから始まりました。現在は銀座コアビル裏のあづま通りに店を構えています。紫色の「菊」ののれんが目印です。

大正9(1920)年に誕生した「冨貴寄(ふきよせ)」は、当時の郷土菓子を集めて、一度にいろいろな味を楽しめるようにと開発した商品。1世紀にわたるロングセラーとなっています。
冨貴寄一缶に入っているお菓子は、なんと30種類以上。小麦、砂糖、卵のみでつくるシンプルなクッキーをはじめ、店名をかたどった落雁(らくがん)、打ち物、ハッカ糖、金平糖などさまざまなお菓子が入っていて、食べ進めるのが楽しくなります。
一番人気は、季節の冨貴寄。春は桜、夏は海の宝物、秋はふくろう、冬には干支のモチーフが入ります。
銀座本店には、さまざまなサイズやパッケージの冨貴寄があるので、ぜひお気に入りのデザインを見つけてみてくださいね。

6.【銀座かずや】板前修業から生まれた抹茶香る練り菓子「かずやの煉」

東京ミッドタウン日比谷や、日比谷シャンテなど、華やかな商業施設からほど近い、雑居ビルの1Fにある「銀座かずや」。

たった一坪の小さなお店で売られているのが予約必須の看板商品「かずやの煉(れん)」。
「かずやの煉」は、店主の古関さんの板前修業の経験から生まれた一品です。胡麻豆腐のつくり方からヒントを得て、生み出されたお菓子はもっちりとした食感と八女の抹茶が香る、和菓子のようで、洋菓子でもあるような、オンリーワンのお菓子です。ひとつずつパッケージに入れられ、みずみずしい笹の葉に包まれた煉り菓子を取り出すと、笹の香りがふんわりと香り、心が躍ります。楊枝で切ろうとすると、思った以上に弾力があります。口に含めば、わらびもちのようなモチっとした食感に八女の抹茶がまろやかに香ります。
「かずやの煉」を確実に手に入れるには、あらかじめ電話予約がおすすめです。

7.【弁才天】フルーツ本来の味にこだわった「フルーツ大福」の数々

名古屋で行列のできる大人気店「覚王山フルーツ大福 弁才天」のフルーツ大福が銀座でも手に入れられます。お店があるのは、銀座4丁目の歌舞伎座からほど近い場所。

店内のセントラルキッチンで一つひとつ手包みされる大福は果物の種類によって大きさが異なります。中に入れられる白あんの量もフルーツによって異なっていて、フルーツと求肥、白あんの「黄金比」にこだわっていらっしゃるそう。フレッシュでみずみずしい季節のフルーツ、絶妙な甘味の白あん、繊細な求肥のハーモニーに、口に入れた瞬間、思わず笑顔がこぼれます。
大福に使用する果物は毎朝、市場に出向き、その時一番おいしいものを仕入れているとのこと。季節によって変わるオススメの味を楽しんでください。

8.【銀座 甘楽】素材のバランスにこだわったシンプルな「豆大福」。

おしゃれなレストランやバーが軒を連ねる銀座コリドー街。JR新橋駅と有楽町駅をつなぐ線路の高架下一帯に栄える繁華街の一角に「銀座 甘楽(かんら)」はあります。落ち着いた雰囲気のシンプルモダンな外観は銀座の品格が感じられる店構えです。

甘楽一押しの商品はシンプルな「豆大福」。シンプルだからこそ素材にこだわり、あんは北海道留寿都の契約農園で収穫した小豆を使用。丁寧に炊いた粒あんが、大福の中にたっぷりと入っています。お餅の原料となるもち米は、宮城県産「みやこがね」。こちらも色々と試した末に、たどり着いたお米。もちもちとコシのあるお餅に仕上がっています。そして、ごろごろと入っているのが存在感のある北海道産の赤えんどう豆。この3つの味がバランス良くまとまり、絶妙のハーモニーを奏でています。
日持ちはなんと当日中。お餅のしっとりもちもちした食感を楽しめるのはつくったその日だけなのです。ちょっとした贈答品として買っていく人も多く、お土産としても大人気です。

9.【日本橋 日月堂】日進月歩を続ける老舗の味、添加物不使用の「コーヒー生大福」

日本橋三越前から路地を少し入った所に「日本橋 日月堂」はあります。創業は明治10(1877)年。カラスとウサギの染め抜かれた紺のれんが目印です。古く中国では、カラスは太陽、ウサギは月の象徴とされてきました。

日月堂の名物が不思議な「コーヒー生大福」になります。コーヒーのほろ苦さと濃厚な生クリーム、上品な餡(あん)の甘さが絶妙なバランスで、味はもちろんその量も計算されているのがわかります。このコーヒー皮を生み出すのに、いろんな種類、また味だけではなく香りまでその相性を試したのだそう。特に驚くのはその餅の柔らかさ! お餅は通常凍らせれば固くなりますが、この生大福の餅は凍らせても固くなりません。冷凍して中身のクリームが固くなっても餅皮にはスッと刃が入るほど。その上、添加物は一切不使用。
日進月歩を続ける日本橋の老舗の味を、ご堪能ください。

10.【中村藤𠮷本店 銀座店】最高級の抹茶を使ったスイーツ「別製まるとパフェ」

安政元 (1854) 年、日本を代表する茶所である京都宇治に生まれた「中村藤𠮷本店」。GINZA SIX 4Fにあるカフェでは、上品で繊細な香味を持つ日本茶の魅力を余すところなく活かした上質なスイーツや食事がいただけます。

ここでぜひ味わいたいのが銀座店限定の「別製まるとパフェ」。特別に上質な抹茶「別製」をふんだんに使った贅沢なパフェです。甘味、苦渋味のバランスが良い上品な抹茶を使用した抹茶生クリームにキレのある苦渋味の抹茶で、中村家の屋号の落款が描かれています。
また、GINZA SIX限定の「生茶ゼリイ 深翠」もオススメ。抹茶ゼリー、抹茶アイスクリーム、さらに銀座店限定のトッピングの特製抹茶餡、丹波種黒豆、栗甘露がセットになっています。
最高級の抹茶を使ったスイーツの数々、ぜひ味わってみてください。

11.【鶴屋𠮷信 TOKYO MISE】出来たてだからこそ味わえる貴重な和菓子体験

享和3(1803)年創業の「鶴屋𠮷信」が京都から東京に進出したのは、昭和35(1960)年。日本橋室町に「鶴屋𠮷信 東京店」を開設し、2014年に「COREDO室町3」がオープンするタイミングで店舗を移転、現在の「鶴屋𠮷信 TOKYO MISE」が誕生しました。

「TOKYO MISE」の目玉は、菓子職人が目の前で技を披露する「菓遊茶屋」と名付けられたこのカウンター。目の前に立っているのは熟練の菓子職人。
カウンター上に並ぶ、4つの上生菓子から自分が食べたいものを選び、職人さんに伝えると、こなれた手つきで上菓子をつくってくれます。絶妙のタイミングで用意されるお抹茶と合わせて、さあ、どうぞ。お菓子の種類は季節に合わせて半月ごとに変わります。
上品な甘さと、ほんのり苦味と渋みを感じるお抹茶とのハーモニーもまた抜群。
出来たてだからこそ味わえる“おいしさ”が、ここにはありました。

12.【御菓子司 翠江堂】苺ファーストに整えられたあんと餅が生み出す「苺大福」

東京都内の和菓子店の中でも、いちご大福の名店として知られる「御菓子司 翠江堂(すいこうどう)」。1943年の創業です。京橋から八丁堀を越え永代橋へと向かう通り沿いに位置するお店は、誰もが立ち寄りやすい店構えで“町の和菓子屋さん”といった雰囲気が漂います。

翠江堂では「苺大福」は通年で提供されています。とは言ってもいちごは自然のものである以上、時期によって甘味や酸味に若干のばらつきが出てしまうもの。だからこそ、その時期のいちごの味わいによって、例えばあんを炊く際は、水分の飛ばし具合を変えることで甘味を調整し、全体のバランスを取っています。ひとくち頬張れば、ふわりと柔らかな薄皮生地と十勝産小豆を炊き上げた程よい甘さのこしあんが優しく、いちごの甘酸っぱさとみずみずしさが口中に広がります。
「苺大福」は、13時~15時頃には完売してしまうので、早めに訪れるか予約しておくのがおすすめです。

13.【日本橋錦豊琳】飽くなき探究心から生み出された新感覚の「かりんとう」

日本有数の問屋街として目利きの人間が集まる商流の中心地、日本橋小伝馬町で明治28(1895)年に創業された老舗菓子問屋・丸井スズキが立ち上げたブランド「日本橋錦豊琳(にしきほうりん)」は、昔懐かしい「かりんとう」を新しいスイーツとして生まれ変わらせました。

店頭には、「きんぴらごぼう」「野菜」「ゆずこしょう」といったしょっぱい味の商品から、「黒糖」「むらさきいも」など、ほんのりと甘い商品までが並びます。
どの商品も日本の伝統的な素材や味わいを生かしているものの、「こんな味のかりんとう見たことない!」と意外性のある商品ばかり。レギュラー商品と期間限定商品をあわせて、毎月12種類のかりんとうが並びます。レギュラー商品も定期的に内容を見直し入れ替えているので、いつ行っても新鮮な感覚で商品を選ぶことができ、飽きることがありません。
懐かしいお菓子を独自のアイデアで新たなものへと生まれ変わらせてきた錦豊琳。今後、どのようなかりんとうが登場するのでしょうか。楽しみで目が離せません。

14.【かんたんなゆめ 日本橋別邸】OPENは今年の年末まで。癒やしの期間限定和菓子Bar

日本有数の問屋街として目利きの人間が集まる商流の中心地、日本橋小伝馬町で明治28(1895)年に創業された老舗菓子問屋・丸井スズキが立ち上げたブランド「日本橋錦豊琳(にしきほうりん)」は、昔懐かしい「かりんとう」を新しいスイーツとして生まれ変わらせました。

東京メトロ銀座線・東西線の日本橋駅A1出口から徒歩1分。中央通りからむろまち小路へ入ったビルの3階に、和菓子Bar「かんたんなゆめ日本橋別邸」はあります。 築80年というビルの急な階段を上って行くと、そこはにぎやかな日本橋の喧騒を忘れさせてくれる別世界。なんとも趣のあるビルですが、日本橋の再開発で取り壊しが決まっているとか。「かんたんなゆめ」は2022年の年末までの期間限定のお店です。
ここで人気のお菓子が、季節によってデザインが変わる、練りきり1つと好きな和菓子2つが選べる「3種セット」のオーダー。甘さは控えめで、普段甘いものを食べない人も、ここの和菓子はおいしいと、とても評判が良いのだそうです。
そして、和菓子と一緒にいただきたいのが、こだわりのお茶とお酒。両方とも種類が揃っていて、お酒が好きな人、お酒が飲めない人、どちらの人も一緒に、楽しい時間を過ごすことができます。

15.【榮太樓總本鋪 日本橋本店】酸っぱくない「ウメボシ」って? 「は~い、えいたろうです」

日本有数の問屋街として目利きの人間が集まる商流の中心地、日本橋小伝馬町で明治28(1895)年に創業された老舗菓子問屋・丸井スズキが立ち上げたブランド「日本橋錦豊琳(にしきほうりん)」は、昔懐かしい「かりんとう」を新しいスイーツとして生まれ変わらせました。

江戸の中心といえば日本橋。有名な麒麟の像からすぐの場所にあるのが創業1818年の「榮太樓總本鋪(えいたろうそうほんぽ)日本橋本店」です。
有名なのが、その昔、列車販売でも売られていた「梅ぼ志飴」。梅干しといっても梅の味がするわけではなく、その形が梅干しに似ていたため付けられたのだそう。それも名付けたのは店の人間ではなく、市井の人。
この「梅ぼ志飴」が発売されたのは1857年頃。それから164年後の2021年、10月3日の「榮太樓飴の日」に5年ぶりの新商品として「しそ飴」が発売されました。この「しそ飴」は1年間の限定商品です。この飴には梅酢が入っていて、甘酸っぱさが口に広がり、最後にはほんのりとまろやかな甘みが残ります。
本店併設の「Nihonbashi E-Chaya」はイートインスペース。「あんバタートースト」や「あんみつパフェ」など気になるメニューがいっぱいです。名物の「金鍔(きんつば)」も焼きたてをいただくことができます。
創業以来、200年あまり。江戸の人たちにかわいがられた「榮太樓」をぜひ訪れてみて下さい。

以上、銀座・日本橋界隈の銘店を紹介してきました。

文:oriori編集部