おいしいどら焼きの条件って何でしょうか? もちもちのどら皮、甘すぎないあんこ、さっぱりしたクリーム……、それともそれらのハーモニーがもたらすものなのでしょうか?
おいしさを追求した結果生まれたに違いない、独創的な変わり種どら焼きをいくつか紹介していきましょう。
- 1.【茨城・志ち乃】ホクホクした霞ヶ浦特産の素材、ハスの実をアレンジした「はすどら」
- 2.【奈良・古都乃和】くず餅のもっちりとした食感にクリームのまろやかさがマッチした「葛どら」
- 3.【埼玉・富久屋】栗スイーツ好きには堪らない逸品。「生どらモンブラン」のボリュームに感嘆
- 4.【北海道・わらく堂】しっとりした食感の美白な皮に包まれたボリューム満点の「たっぷり生白どら」
- 5.【島根・松葉屋】ストーリーのある生い立ちも隠し味の変わり種どら焼き「噂の生どら」
- 6.【岐阜・良平堂】バターが香る、甘さ控えめの完成度。絶品の「ぽてどら」
- 7.【鹿児島・梅月堂】オーセンティックな雰囲気が漂う、オトナの「ラムドラ」はいかが?
- 8.【東京・福どら】洋菓子店が出自のどら焼き店がつくる甘酸っぱい「杏あん」どら焼き
- 9.【群馬・和む菓子 なか又】焼き上がりの生地の厚みが2センチ! SNSでも話題の「ふわふわ わぬき」
1.【茨城・志ち乃】ホクホクした霞ヶ浦特産の素材、ハスの実をアレンジした「はすどら」
「志ち乃(しちの)」は昭和25(1950)年に茨城県土浦市に創業されたどら焼き専門店です。土浦市の本店を含め、現在は県内に4店舗を展開しています。店舗ごとに4~6種類の限定どら焼きを扱っていて、本店では常時16種類のどら焼きが販売されているほか、月替わりの「お楽しみどら」も用意されています。
なかでも注目なのが、土浦本店限定のどら焼き「はすどら」。地元霞ヶ浦周辺は、日本有数のレンコンの産地です。志ち乃では、レンコンではなく、レンコンの種子(ハスの実)を甘露煮にして複数個、たっぷりの白あんに挟んだどら焼きです。「はすどら」の皮にはハスの実と白あんにあわせた黒糖入りの皮が使われています。じつに茨城らしい素材の取り合わせといえましょう。
2.【奈良・古都乃和】くず餅のもっちりとした食感にクリームのまろやかさがマッチした「葛どら」
どら焼きギフト専門店を看板に掲げる奈良の「古都乃和(KOTONOWA)」がつくった変わり種どら焼きが「葛どら」です。「葛どら」には、あんことクリームに加えて奈良県名産の吉野の本くずでつくられたくず餅が入っています。中のクリームは「黒蜜きな粉クリーム」と「抹茶クリーム」の2種類。きな粉クリーム味は、きな粉とあんの爽やかな風味が特徴です。黒蜜が塗られた皮生地が甘味を加えてくれます。抹茶クリーム味は苦みのある抹茶パウダーと甘味のある抹茶クリームが絶妙なハーモニーを奏でています。
直径が7センチほどの食べやすいミニサイズながら生地とくず餅、そしてクリームが適度なボリューム感をだしていて、食べごたえがあります。
シンプルながらも高級感が溢れる小箱に個別包装されていて、ギフトにもピッタリ。黒蜜きな粉と抹茶が3個ずつ入った食べ比べセットがおすすめです。
3.【埼玉・富久屋】栗スイーツ好きには堪らない逸品。「生どらモンブラン」のボリュームに感嘆
埼玉県東松山にある明治45(1912)年創業の老舗和菓子店「富久屋」が生み出した変わり種どら焼きが「生どらモンブラン」。熊本産の和栗を使用した栗きんとんに生クリームを合わせたマロンペーストに、さらに大きな渋皮栗の甘露煮を一粒入れた贅沢な生どら焼きです。中にあんこは入っておらず、クリームのさっぱりとした甘さが広がります。
ふんわり香ばしい生地は弾力があり、和菓子なのにケーキを食べているような気持ちになります。ごろっと入った甘露煮の渋皮栗も丁度いい甘さで、栗スイーツ好きには堪らない逸品となっています。
4.【北海道・わらく堂】しっとりした食感の美白な皮に包まれたボリューム満点の「たっぷり生白どら」
昭和41(1966)年創業のわらく堂は地元北海道産の素材にこだわったスイーツをつくり続けているお店です。わらく堂のどら焼きは真っ白な皮にたっぷりのクリームがサンドされた珍しい「白皮どら焼き」。職人たちが、1枚1枚手焼きするしっとりした食感の「白皮どら焼き」に北海道産しゅまり小豆でつくるコクのある“粒あんホイップ”を贅沢にたっぷり挟み込んでいます。特筆すべきはサンドされているクリームの量。「超」がつくほど「たっぷり」入れられたクリームは幅と同じくらいの厚みがあります。それでいて甘さは控えめでミルキーな風味です。
同じ白どら皮を使った「たっぷり白どら苺北海道レアチーズ」は、風味豊かな、北海道産クリームチーズを惜しげなく使用した“ふんわり食感苺レアチーズクリーム”を挟み込んだ爽やかな苺風味の「白どら焼き」です。食べ比べできる 2種6個セットがおすすめです。
5.【島根・松葉屋】ストーリーのある生い立ちも隠し味の変わり種どら焼き「噂の生どら」
奥出雲の山里でつくられる意味深なネーミングのどら焼きが「噂の生どら」シリーズです。メディアにもたびたび取り上げられ、パッケージには訳ありそうな顔が描かれたどら焼きはインパクト大。このパッケージデザインは公募で選ばれたそう。お味は⼩倉、抹茶、珈琲、チョコにプリン味。それ以外に季節の味を生かした生どらもつくっています。
松葉屋の生どらは、クリームもさることながら、ふわふわの皮が命。食べ比べてみると他のどら焼きとの違いが分かります。和菓子というよりも洋菓子のスポンジに近い食感です。サンドする中身も和菓子のあんと洋菓子のクリームが合わさった、まさに和洋折衷のお菓子。
スタッフとお客さんが二人三脚でつくってきた結果が「噂のどら焼き」に結集しているようです。
6.【岐阜・良平堂】バターが香る、甘さ控えめの完成度。絶品の「ぽてどら」
岐阜県恵那市にある栗和菓子の専門店、「良平堂」。こちらの変わり種どら焼きは特産品の恵那栗……、ではなく「スイートポテトどら焼き」。もちろん栗を使ったどら焼きもつくっているのですが、今回は契約農家さんがつくったサツマイモをあんこに使った「ぽてどら」をご紹介。スタッフの発案から企画、商品化にこぎつけたという「スイートポテトどら焼き」は食物繊維も多く、やさしい甘さで子どもからお年寄りまで幅広く愛されているそうです。
がぶりと頬張れば、あんこに加えられているバターの風味が鼻孔をくすぐります。
7.【鹿児島・梅月堂】オーセンティックな雰囲気が漂う、オトナの「ラムドラ」はいかが?
大正10(1921)年、ちょうど100年前に創業された「梅月堂」は、鹿児島県日置市にあります。「ラムドラ」の「ラム」は「ラムレーズン」のこと。ジャマイカ産の本格派ダークラム、マイヤーズラムにつけ込んだレーズンがどら焼きのあんこの中に隠れています。そのため「オトナの」どら焼きと称されています。
紫地に金の箔押しという気品ある「オトナ」パッケージを開けるとやや小ぶりな濃い茶色のどら焼きが顔をのぞかせます。漂ってくるのはラム酒の芳香。
ちょっと薄手の皮に包まれているのは北海道産の大納言小豆でつくられたあんこと数粒のラムレーズン。和と洋が実に絶妙なマッチングで、頬張ると口の中にあんこの甘さとラム酒の濃厚な味がじゅわっと広がります。
賞味期限も長めで日持ちもするのでギフトに最適です。
8.【東京・福どら】洋菓子店が出自のどら焼き店がつくる甘酸っぱい「杏あん」どら焼き
東京の下町にあるどら焼き専門店「福どら」は生どら焼きの元祖的存在。2002年の創業以来、今では都内に3店舗を展開しています。
そこがつくった変わり種どら焼きが、とろっと炊いた杏がごろっとはいった、「杏あん」。あんずに加えて、白あんベースの自家製あんずあんもたっぷりと入っていて、かみしめると口いっぱいに爽やかな甘酸っぱさが広がります。どら焼きの皮は冷蔵してもパサパサしないように工夫がされているそうです。
「杏あん」以外にも「栗いっぱい」や「かすたーど」「ぶるーべりー」など洋菓子のようなどら焼きのラインナップが勢揃い。お取り寄せには「食べ比べセット」も用意されているので、ぜひお試しを。
9.【群馬・和む菓子 なか又】焼き上がりの生地の厚みが2センチ! SNSでも話題の「ふわふわ わぬき」
「和む菓子 なか又」は、群馬県前橋市にある和菓子屋さん。「和むをふやす」「人と人とをつなぐための菓子」をつくりたいと考えているそうです。たっぷりのメレンゲを使ったふわふわなどら焼き「ふわふわ わぬき」は、連日完売の続く人気商品。名前からして「柔らかそう~」と話題の和菓子です。
ところで「わぬき」って何でしょうか? 漢字で書くと「輪貫」、これは前橋の旧藩主松平氏が馬印や旗印に使っていた丸紋で、現在は前橋市の市章になっているものです。それを商品名に冠しているのが「和む菓子 なか又」定番どら焼きの「わぬき」なのです。前橋を代表する銘菓を目指したいとの思いで名付けられたそうです。
そして、今回ご紹介の進化形どら焼きが「ふわふわ わぬき」。皮生地にメレンゲが加えられていて、焼き上がりの生地の厚みが2センチ程もあるんです。SNSで公開されている、「人生変わる、衝撃のふわふわ食感。」と銘打たれた生地を焼く動画は一見の価値ありです。その超極厚な皮の間にたっぷりのクリームや旬のフルーツなどがこれでもかと詰められて、パンケーキのような、スフレのような、とろける食感はまさに至福のどら焼き。
変わり種どら焼きの数々、いかがでしたでしょうか? 今回紹介したお店では、ラインナップした以外にも個性的などら焼きをたくさんつくっています。お取り寄せして試してみてくださいね。チャレンジこそ人生!
文:oriori編集部