こんにちは、和菓子コーディネーターのせせなおこです。この連載では、何げない毎日がちょっといい日になるような、そんなおやつを紹介します。
今日のおやつ「生茶ゼリイ」
初めて生茶ゼリイに出会ったのは初めて宇治に行った時のこと。たまたま入ったお店が中村藤吉本店でした。茶そばを食べた後にデザートとして頼んだ生茶ゼリイ。竹筒に入っていて見た目に衝撃を受け、そして、それまでの“ゼリー”の概念をくつがえす、ぷるんとしつつも弾力のある食感に衝撃を受けました。
写真提供:中村藤吉本店
中村藤吉本店は1854年、日本を代表するお茶所である宇治で創業した歴史ある茶商です。京都、そして東京にも店舗があります。お茶はもちろんのこと、今回紹介するゼリイをはじめお茶を使ったスイーツがとても豊富に揃えられており、濃厚なお茶をいろんな角度から感じることができます。
今回紹介するのは抹茶、ほうじ茶、玉露の3種類が入った生茶ゼリイのセット。“急須でお茶を「飲む」ということが減ってきた現代において、「飲む」のとは別のカタチでお茶の魅力を伝えたい”という思いのもと生まれた商品です。
玉露はこの時期だけの限定品で、玉露ゼリイが食べたくてこの季節まで待っていました。箱を開けるとまるで宝石箱のようにキラキラとしたゼリーが出てきます。ゼリーはとても繊細なため丁寧に箱から取り出します!
まずは定番の抹茶。濃い緑色の抹茶ゼリイにたっぷりの小倉あん、白玉が添えられています。緑がとっても鮮やかです。
ほうじ茶は透き通る茶色のゼリイに小倉あんと白玉。ホッとする香りに包まれます。
そして、玉露は玉露をふんだんに使ったゼリイと白玉、先ほどの2つと異なり玉露を使ったあんが入っています。
どれもゼリー単体ではお茶本来の味を堪能でき、特に抹茶はほろ苦ささえ感じるほど。つるんと、そして、もっちりとした弾力を併せ持つ不思議な食感。何度食べてもおいしいなぁ、と感動してしまいます。ゼリーが大きめの四角に切られているのも注目ポイントです。
そんなお茶の香りを楽しめるゼリーにあんを合わせることで甘さが加わり、食べやすくなります。そして、より一層、お茶の香りが引き立ちます。玉露のゼリーは透き通る緑色の中に茶葉が入っているのが見えます。みているだけで癒やされるほどの美しさで食べるのがもったいない!
行きたい場所に行きにくい日々が続きましたが、その分こうしてお家で各地の味を味わえる機会も増えてきました。旅行中のたまたま出会う楽しさは何物にも代えられませんが、その分お家で昔の思い出に浸りながら食べる味も悪くないなぁと思うここ最近です。
文:せせなおこ