
数多くの神社仏閣が点在する川越は、小江戸とも呼ばれていて、江戸との関わりが深く、風情のある古い街並みが残っています。徳川家とゆかりの深い「仙波東照宮」や「喜多院」、夫婦円満・縁結びの神様として信仰される「川越氷川神社」、紀州の熊野本宮から分祀された開運・厄除けの神社「川越 熊野神社」、川越の守護神として崇敬される「川越八幡宮」など開運のスポットがたくさんあり、新春の行事も数多く開催されています。特に1月3日には、喜多院で厄難消除、七転八起の「初大師だるま市」が、早朝から日没まで開かれます。
また、中心市街地には七福神を祀っているお寺もあります。全行程歩いても6キロメートル程度ですので、この機会にお参りがてらのお出掛けはいかがですか?
散策の合間には、お気に入りの和菓子スポットで一休み。素敵な休日を過ごせる、川越ならではの和菓子店を紹介していきましょう。
1.創業150年以上の老舗和菓子店、お菓子の紋蔵庵
川越といえば、蔵の街としても有名です。その中心は、昔ながらの蔵造りの建物が並ぶ川越一番街商店街。まるでタイムスリップしてしまったかのような感覚になる通りです。その札の辻交差点そばにあるのが紋蔵庵 蔵の街店。看板商品「つばさかりん」ののれんがはためき、活気ある店内の様子が伺えます。
紋蔵庵で一番人気のお菓子が「つばさかりん」。NHKの朝ドラから誕生したお菓子です。じっくり煮詰めた焦がし蜜を生地に練り込み、さつまいものあんを包んで、かりんとう風に油でカラリと揚げています。細長い形で持ちやすく、ぱくりと食べやすいのも魅力。口に入れると、黒糖のほろ苦さと甘いさつまいもあんが絶妙なバランスで混ざり合います。
併設のカフェでは、コーヒーやソフトクリームも販売。イートインスペースではカフェで注文した商品のほか、購入した和菓子も食べられます。奥のカウンター席は大きな照明を付けず、窓から入る自然光を利用。外の雑踏から離れ、落ち着いた空間が広がります。
外のベンチでも飲食が可能です。見事な庭を眺めながら、ゆったりと過ごすぜいたくな時間を楽しんでください。
2.「川越食べ歩きグルメ」の定番菓子、「いも恋」の菓匠右門
川越でさつまいもの生産が始まったのは、江戸時代、1700年代の中頃です。関東ローム層の武蔵野台地の土質がさつまいもの栽培に適していたことと、重量のあるさつまいもを舟で江戸に運ぶのに便利な立地だったことが、川越がさつまいもの名産地となった要因です。そのため、江戸・日本橋から十三里ほどの位置にあった川越のさつまいもは「栗(九里)より(四里)うまい十三里」のキャッチコピーで焼き芋として江戸でも評判になりました。
そんなさつまいもを使ったお菓子が「いも恋」。菓匠右門の看板商品です。「いも恋」は、さつまいもの輪切りと北海道産の小豆を使った粒あんを山芋ともち米の生地で包んだおまんじゅう。熊本の郷土菓子「いきなり団子」によく似ています。ほんのり塩味がきいたもっちりとした皮に包まれ、さつまいもと粒あんの甘さがバランスよく絶妙! 食べごたえがあり、小腹が空いたときやおやつにピッタリです。店頭に置かれた蒸し器からは湯気が上がっていて、出来たてを販売しているので、買ってすぐに食べられます。
右門の店舗は川越観光の中心となる一番街周辺に4店舗あります。軽食ができるお店もあるので、ぜひ足を運んでみてください。
3.くらづくり本舗
蔵の街、川越の蔵にちなんだ縁起の良い最中「福蔵(ふくぐら)」を作っているのは、明治20(1887)年創業の老舗和菓子店「くらづくり本舗」です。蔵から「生まれる福」「伝え守る蔵」の思いを込めて作られたのが看板商品の福蔵です。
ずっしりとした重さの福蔵の包みを開けると、皮には「福」と「蔵」がかたどられており、縁起の良い文字にふと心が和みます。5.5センチの正方形で厚さ3センチ、重さ80グラムの大きな最中。新潟県産のこがねもちを焼き上げた最中皮に北海道十勝平野で収穫した小豆のあんこ、その中には佐賀県産のひよくもち米をついた「福餅」と、こだわりの材料を使用しています。あんことお餅が隙間なく入っているので、お茶と一緒にいただくとお腹いっぱいになり、食べごたえは十分。慶事の手みやげやお祝いごとにもおすすめのお菓子です。
久保町本店の店内にはほかにも、川越大師喜多院に由来した「長寿らかん餅」や「喜多のかけ橋」、大正時代の面影を残す大正浪漫夢通りの石畳をイメージしたクッキー「石畳のある街並み」など、川越にちなんだお菓子がずらりと並びます。
川越の文化や歴史について、菓子を通じて伝え続ける「くらづくり本舗」。おもてなしの品や川越観光のお土産を買い求めに、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
文:oriori編集部