赤坂・六本木

【麻布野菜菓子】トマト、ごぼう、蓮根、セロリ……。意外な野菜が美味しい和洋菓子に変身!

笹木理恵

1.洗練されたデザインで、手土産としても人気の野菜菓子専門店

星付きレストランから老舗の和菓子店まで、新旧のさまざまな飲食店が並ぶ麻布十番。
駅から徒歩3分ほどの場所に、「麻布野菜菓子」はあります。一見するとカフェのような店構えですが、黄色の暖簾が和菓子店であることをさりげなくアピールしています。

創業は2012年。南麻布のガレージで、わずか3坪の店舗からスタートしました。オーナーは、グラフィックデザイナーの花崎さん。仕事で野菜懐石レストランのデザインに携わった際、野菜料理の美しさや美味しさに惹かれたのをきっかけに、野菜をもっと別の形で表現できたら面白いのではと考え、野菜を和テイストのお菓子にする、という現在のスタイルに行きついたそうです。

2.どら焼き、フィナンシェ、最中、水羊羹など多彩なバリエーション

商品は、野菜のどら焼きをはじめ、野菜最中、野菜のフィナンシェ、野菜の水羊羹、野菜チップスなどバリエーションが豊富。野菜のお菓子というと、健康的なのが第一で味は二の次と思われがちですが、「麻布野菜菓子」のコンセプトは“おいしさファースト”。野菜の味をしっかり感じられながらも、お菓子としてきちんとおいしく、実際に食べたときにギャップや驚きのあるお菓子をめざしていると言います。

野菜のフィナンシェ 各248円(税込)

一番人気は、6種類を揃えるカラフルな野菜のフィナンシェ。「トマト」は、生地に完熟トマトのピューレを加え、風味の凝縮したドライトマトをトッピング。「ほうれん草と抹茶」は、クセのない味わいのほうれん草に、抹茶の香りと小豆の甘みがマッチ。「しょうが」は、ピリッとした刺激がクセになるとファンの多い一品です。いずれも、バターやアーモンドのリッチな味わいと調和して、フィナンシェとして違和感なく成立しています。

野菜餡のどら焼き 紫芋 297円(税込)

「野菜餡のどら焼き」の最大のこだわりは、特製の野菜あん。
白あんをベースに、紫芋やカボチャなど素材をふんだんに入れることで、素材の風味豊かな味わいを引き出すことに成功。さらに、隠し味に生クリームを加え、スイートポテトのようなリッチな味わいに仕立てています。なめらかな野菜あんに合わせるのは、卵の風味を活かしたスポンジのようにやわらかい生地。ふわふわ、口どけのよい生地と野菜あんのハーモニーが、どら焼きの新しい美味しさを感じさせてくれます。

野菜最中 蓮根/黒胡麻と木の芽 各291円(税込)

見た目も味も個性的な商品といえば、この「野菜最中」。野菜のスライスを一緒に焼き込んだ最中種は、石川・金沢にある菓子種専門の老舗、加賀種食品工業に特注したオリジナル。さらに中のあんは、甘く煮た蓮根に生クリームを合わせた「蓮根」や、清々しい木の芽の香りを添えた「黒胡麻と木の芽」など、食べるまで想像ができない組み合わせ。他では味わえない味と食感にハマるお客様も少なくないのだとか。

3.かき氷や生菓子など、季節のカフェメニューも人気

羽衣ブルーベリー大福 345円(税込)

そして、最近の自信作が、包み方にこだわったユニークな形の大福。季節ごとに具材が変わり、7月は「ブルーベリー大福」。もちもちの求肥に包まれたフレッシュなブルーベリーの下には、ブルーベリーあんとクリームチーズが隠れており、コクのある味わいが楽しめます。

マクワウリとメロンのかき氷 1,430円(税込)  ※画像提供/麻布野菜菓子

また店内にはカフェスペースもあり、和栗のモンブランやトマトのわらび餅などのデザートもいただけます。一番人気は、野菜のかき氷。この夏の新作「マクワウリとメロンのかき氷」をはじめ、なすの赤ワインコンポートや、アボカドなど、他では食べることができないかき氷を目当てに訪れるファンでにぎわっています。

今回紹介した以外にも、野菜のジャムや、野菜の焼き浮島など、気になる野菜菓子がたくさん。生菓子やカフェメニューは季節によって変わるので、ぜひ旬の味を楽しみに訪れてみてくださいね。

取材・文:笹木理恵