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夏にぴったりの和菓子、みつまめは、三姉妹の長女です。次女と三女は……。

oriori編集部

夏至も過ぎ、梅雨が明ければ小暑、大暑といよいよ夏真っ盛り。暑さで食欲も減退するこの時期には、水羊羹やくず餅など水分を多く含み、つるんと食べられる水菓子が好まれます。
中でも、プルンとみずみずしい寒天をふんだんに使った夏の定番和菓子がみつまめ。夏の食べ物として俳諧でも夏の季語になっているほどですが、現在では四季を問わず食べられています。

みつまめが誕生したのは、明治36(1903)年のこと。芋ようかんで有名な老舗和菓子店、浅草の「舟和」が売り出したものが最初と言われています。銀の容器に赤エンドウ豆、さいの目に切られた角寒天、求肥や桃、サクランボといった各種のフルーツを入れ、蜜をかけたものを、当時流行していた「ビヤホール」「ミルクホール」にあやかった「みつ豆ホール」と名付けた西洋風の喫茶店で売り出し、大人向けの甘味として好評を博していました。
みつまめの原形を辿ると、江戸時代末期に屋台で売られていたおやつに行き着くそうです。しん粉(米粉)細工の舟に、ゆでた赤エンドウ豆を入れて蜜を掛けたものが庶民の味として人気だったといいます。これにヒントを得て、アレンジして作られたのが舟和のみつまめというわけです。

次に、タイトルにも書いた三姉妹の次女にあたるのは、あんみつです。これは、現在も銀座5丁目にある老舗の汁粉屋「若松」で、昭和5(1930)年に生み出されました。みつまめに自家製のこしあんを乗せて、さらに甘い黒蜜をかけたところ瞬く間に大ヒットしたといいます。お汁粉屋だけに、あんこにはこだわりがあったのでしょう、今でも「元祖あんみつ」として、お店でいただけます。
現在では、あんみつは他の甘味処でもすっかり定番商品となり、こしあんだけでなく、つぶしあんをのせたものや、アイスクリームをトッピングしたもの、抹茶寒天をプラスしたものなど、アレンジされたあんみつを見ることができます。味のバリエーションもあって、あんみつ次女は、長女を凌ぐ人気者になっていったのです。

そして、さらに時代を下ること約40年、三姉妹の末娘、豆寒天、略して豆かんが誕生します。飾り気がなく、見た目もシンプルな豆かんは浅草にある甘味処「梅むら」で生まれました。正確な生まれ年は分かりませんが、梅むらの創業が1968年ですから、それ以降の誕生であることは間違いありません。みつまめや、あんみつよりもシンプルな豆かんが、更に後に誕生したというのは意外でした。入っているのは豆、寒天、蜜、ただ、それだけのシンプルさ。だからこそ素材本来の風味が“そのまま”味わえます。中でも、梅むらの豆かんは、ちょっと特徴的で、入っているエンドウ豆が黒真珠と評されるほど黒くてツヤツヤとしています。ほんのり塩気の感じられる豆はホクホクしていて、弾力のある寒天と非常によくマッチし、蜜の甘味も申し分ない組み合わせです。

今回紹介した、三姉妹。いずれも、発祥の店が残っているので、元祖の味を楽しむことができます。お店によってはテイクアウトできるメニューもありますから、ぜひ足を運んでみてください。また、最寄りの甘味屋さんでも、オリジナルのみつまめやあんみつが並んでいる時季だと思います。暑気払いに、お気に入りの一品を探して散策してみるのもいいかもしれません。

※使用している写真はイメージです。記事中の店舗の商品ではありません。

文:oriori編集部