この稿をまとめるにあたって、大福の歴史についてちょっと調べてみました。
そうすると、小豆でつくられたあんがはいった餅菓子という以外に、食べるとお腹がいっぱいになることから、かつては「腹太餅」と呼ばれていたとか、江戸・小石川のおたまという女性がつくり始めたらしいとか、いちご大福などでは、餅ではなくほんのり甘い求肥が使われていることが多いとか、大福好きでなくとも興味津々の情報がたくさん出てきました。
最近では、あんこと一緒にいろいろな果物を入れたフルーツ大福や、チーズクリームやチョコクリームといった洋菓子の素材を入れた、変わり種大福も注目を集めています。
それでは、東京で買える人気の大福あれこれの情報をお知らせしましょう。
- 1.【御菓子司 翠江堂】隅田川のほとりに位置する、一日3500個が売れる「いちご大福」の銘店
- 2.【大國屋 多摩川矢口店】創業80年の老舗和菓子店がつくる、大振りの栗がごろっと入った大栗大福
- 3.【日本橋 日月堂】計算されたほろ苦さが、生クリームと絶妙のハーモニーを奏でるコーヒー生大福
- 4.【銀座甘楽】リピーター続出。銀座のモダンな和菓子屋がつくる三“味”一体の豆大福
- 5.【It Wokashi(いとをかし)】オリジナリティ溢れる組み合わせに脱帽する、新感覚大福登場!
- 6.【あか】あれこれ食べ比べて楽しめるのが、いちご大福専門店の醍醐味
- 7.【江戸うさぎ】怖くない! てか、むしろスウィーティーな谷中墓地の「妖怪★大福」
- 8.【弁才天】フルーツと求肥、白あんの「黄金比」が身上のフルーツ大福は“SNS映え”も重視
1.【御菓子司 翠江堂】隅田川のほとりに位置する、一日3500個が売れる「いちご大福」の銘店
東京都内の和菓子店の中でも、いちご大福の名店として知られる「御菓子司 翠江堂」。1943年の創業以来、隅田川沿いに位置する本店は、誰もが立ち寄りやすい店構えで“まちの和菓子屋さん”といった雰囲気がただよいます。
「いちご大福」といえば季節の和菓子というイメージですが、「御菓子司 翠江堂」では通年で提供され、本店、大手町と有楽町にある支店を合わせて、多いときで3500個が売り切れるほどの人気ぶり。
いちごはその時々で手に入る良質なものを使用していますが、やはり自然のものである以上、甘味や酸味は若干のばらつきが出てしまうもの。だからこそ、その時期のいちごの味わいによって、例えばあんを炊く際は、水分の飛ばし具合を変えることで甘味を調整し、全体のバランスを取っています。
ひとくち頬張れば、ふわりと柔らかな薄皮生地と十勝産小豆を炊き上げた程よい甘さのこしあんが優しく、いちごの甘酸っぱさと瑞々しさが口中に広がります。
2.【大國屋 多摩川矢口店】創業80年の老舗和菓子店がつくる、大振りの栗がごろっと入った大栗大福
東京都大田区池上。昔ながらの和菓子屋さんが多い、池上本門寺付近にあるのが栗大福本舗の大國屋です。創業はなんと昭和13年。
大國屋といえば大栗大福。ごろんと大振りの栗の甘露煮をちょうどいい甘さのあんこが包みます。
池上はくず餅が有名な土地ですが、この大栗大福はまたそれとは違う和菓子として人気です。その人気は2代目から現3代目に経営が変わる時、町の人から「大栗大福なくさないで……」との声が店に届いたほど。
地元の人からは、「大國屋さんの栗大福、美味しいよ」と今も親しまれています。毎週火曜日にはこの大栗大福がお得に買えるとして賑わっています。
3.【日本橋 日月堂】計算されたほろ苦さが、生クリームと絶妙のハーモニーを奏でるコーヒー生大福
日本橋 日月堂は、創業明治10年。現在八代目が守る紺暖簾には、餅をつくウサギに羽を広げるカラスが描かれています。この店で評判になっているのがコーヒー生大福。
コーヒーのほろ苦さと濃厚な生クリーム、上品なあんの甘さが絶妙なバランスで、味はもちろんその量も計算されているのがわかります。
特に驚くのはその餅の柔らかさ! お餅は通常凍らせれば固くなりますが、この生大福の餅は凍らせても固くなりません。冷凍して中身のクリームが固くなっても餅皮にはスッと刃が入るほど。その上、添加物は一切不使用。
冷凍できるためネットでの販売もありますが、1日150~250個ほどの限定商品のためお取り寄せやプレゼントを考えている人はお早めに。
4.【銀座甘楽】リピーター続出。銀座のモダンな和菓子屋がつくる三“味”一体の豆大福
JR有楽町駅と新橋駅の高架下にあるコリドー街。その一角で、落ち着いた雰囲気のシンプルモダンな外観は、銀座の品格が感じられる店構えです。
お店のキャッチフレーズは「豆大福の店」。創業当時、お店の看板メニューとなる商品は何か……と考え一番に思いついたのが「豆大福」だったとのこと。シンプルな豆大福のおいしさを追及して、あんと餅にこだわっています。
あんは試行錯誤を繰り返し、北海道留寿都の契約農園で収穫した小豆を使用。お餅の原料となるもち米は、宮城県産「みやこがね」。素材を色々と試した末に、たどり着いたお米です。そしてごろごろと存在感がある北海道産の赤えんどう豆。
この3つの味と食感の絶妙なバランス! 一度食べるとおいしさにはまりリピーターになってしまうとか。
日持ちはなんと当日中。お餅のしっとりもちもちした食感を楽しめるのは作ったその日だけなのです。贈答品として買っていく人も多く、お土産としても大人気です。
5.【It Wokashi(いとをかし)】オリジナリティ溢れる組み合わせに脱帽する、新感覚大福登場!
東急大井町線、九品仏の駅からほど近いところにある和菓子屋さん「It Wokashi いとをかし」。
三重県鈴鹿市にある300年続く老舗和菓子店 「大徳屋長久」の16代目 竹口久嗣氏による新ブランドで、自由な発想と伝統の技術を掛け合わせつくりあげる現代の和菓子ブランドです。
看板商品の「Daifuku(だいふく)」は究極のふわふわ、とろとろを追及したもの。ハーブやスパイス、フルーツなどを合わせた新感覚の大福の味は「粒餡&クリーム」「抹茶&レモン」「烏龍&杏仁」「苺&ピンクペッパー」「葡萄&ラム」「胡麻&マンゴー」の6種類。
今までにないような組み合わせが楽しめるオリジナリティ溢れる大福です。
冷凍状態で販売されているので、そのままいただくと上品なアイスのようで、これからの季節、暑い時期のデザートに最適ですね。半解凍はとろけるような濃厚な口あたり、完全解凍すると飲めるほどトロトロフワフワの新食感。
温度によって食感や味わいが違うので、食べ比べてみるのも楽しいかも。
6.【あか】あれこれ食べ比べて楽しめるのが、いちご大福専門店の醍醐味
いちご大福専門店「あか」は、学芸大学駅から歩いて11分、昭和の雰囲気が残る中央中通り商店街の一角にちょこんとある小さなお店です。
「あか」では、実際に生産者の方とお会いして選んだ、有機栽培や無農薬のいちごを使用して、毎朝お店の2階で一つひとつ手作りしています。そのため1日に販売できる個数は200個限定。常時3~4種類のおいしいイチゴを目利きしています。
もちろんいちご以外も手を抜いていません。求肥は滋賀県小佐治産のもち米を使用した「羽二重餅粉」。粘土質が多い土壌で収穫されたもち米は、ねばりとコシ、伸びのバランスが絶妙な一級品です。
白あんは北海道産の高級菜豆「大福豆」。クセがなくスッキリとした味が特徴の希少な豆です。甘さ控えめにして大福豆の上品な香りを残しつつ、いちごのおいしさを引き立てます。
お土産にも喜ばれそうないちご大福。いちご大福が一番おいしくいただけるのは、やっぱり作り立て。できたら午前中に召しあがって欲しいとのことでした。
7.【江戸うさぎ】怖くない! てか、むしろスウィーティーな谷中墓地の「妖怪★大福」
日暮里駅から徒歩3分ほどのところにある和菓子屋さん「江戸うさぎ」。
江戸うさぎは1954年創業で、お土産などのお菓子を作っている株式会社 大藤が手掛けるブランド。
お店の名物は、近くにある「谷中の墓地からやってきた」というコンセプトの「妖怪★大福」。妖怪が舌を出しているようなフォトジェニックなフルーツ大福です。なんともユーモラスな表情でかわいいですよね。
生地にはコラーゲンが練り込まれていて、モチモチでとろける食感。
一番人気のいちご大福は、こしあんとミルクあんの2種類。 ミルクあんは練乳が入っていていちごミルクのような味わいで、女性に人気なのだそうです。
(※注:いちごの入荷状況により、販売が制限される場合があります)。
オレンジ色のあんず大福は、舌の部分が丸いせいか優しい表情に見えますね。
デパートの催事などでは、苺やあんず以外の、季節のフルーツを使用した大福も販売されることがあるそうなので、こちらも要チェックですね。
8.【弁才天】フルーツと求肥、白あんの「黄金比」が身上のフルーツ大福は“SNS映え”も重視
2019年10月に名古屋市にオープンするやいなや、SNSで「萌え断!」(断面が映える!)と話題となり、瞬く間に大人気。今回紹介するお店「フルーツ大福 弁才天 銀座店」があるのは、銀座4丁目の歌舞伎座からほど近い場所ですが、今では六本木や青山、三軒茶屋などにも続々と展開しています。
店内にはセントラルキッチンがあり、大福は1つ1つ丁寧に手包みで作られています。市場から直送される旬のフルーツが、丸ごと入っているので、1つ1つ大きさが違います。
大福に使用する果物は毎朝、市場に出向き、その時一番美味しいものを仕入れているとのこと。
フルーツを包む求肥は「高級羽二重粉」を使用し、素材の自然な甘みを引き立たせるため、上品な甘さに仕上げています。白あんも甘さ控えめで白豆本来の味を楽しむことができます。
フルーツと求肥、白あんの「黄金比」にこだわっているそうで、フレッシュでみずみずしい季節のフルーツ、絶妙な甘味の白あん、繊細な求肥のハーモニーに、口に入れた瞬間、思わず笑顔がこぼれます。
文:oriori編集部